
インド市場を軸に攻勢を強めるNothing
ロンドン発の新興メーカー「Nothing」が、ここにきて大胆な人事を発表しました。サブブランド「CMF by Nothing」のインド事業責任者に、元POCO India代表のヒマンシュ・タンドン氏を迎えたのです。
単なる幹部人事にとどまらず、この動きはNothingがインド市場を成長の拠点と位置づけ、グローバル展開を本格化させる強い意思表示ともいえます。
タンドン氏とは何者か
タンドン氏はPOCOの立ち上げメンバーであり、2022年からインド代表に就任。競争が激しい同国市場でブランドの存在感を確立し、2024年第1四半期には市場シェア5.9%を記録しました。これは親会社シャオミが苦戦する中でも、サブブランドとして健闘を見せた成果です。
彼の戦略は「手の届く価格で憧れを抱かせるプロダクト」を作り上げること。これはまさに、デザインとコストパフォーマンスを両立させようとするCMFの方向性と重なります。
Nothingが狙う成長のカギ
インドを拠点とした世界展開
すでにCMFのマーケティング拠点はインドに移されており、タンドン氏の着任はその戦略を一段と加速させます。現地の消費者動向や流通網を知り尽くした彼の知見は、Nothingにとって大きな武器になるでしょう。
コスト競争力とブランド熱を両立
CMFは超ハイエンドではなく、手頃な価格帯で魅力的なデザインを打ち出すブランドです。タンドン氏が培った「適正価格を維持しつつ熱狂を生む手法」は、この市場で勝つために不可欠です。
オフライン販売への突破口
POCO時代に築いた流通業者とのネットワークを活かし、CMF製品をオンライン限定から店頭販売へ広げる可能性も高まります。インド市場での浸透スピードは格段に上がるはずです。
Z世代との強い接点
タンドン氏が掲げるのは「CMFをZ世代の文化的アイコンに育てる」というビジョンです。テクノロジーをライフスタイルやアイデンティティと結びつけるNothingの理念とも親和性が高く、若年層に支持されやすいブランド像を築けるでしょう。
プレミアムと大衆路線の両立なるか
Nothing本体はアップルやサムスンに挑むデザイン志向のブランドとして存在感を示してきました。一方でCMFはボリューム市場を狙うラインとして成長を図ろうとしています。
この二つの戦略が相反するのか、それとも相互補完となるのか――。現時点では「Nothing= aspirational(憧れ)」と「CMF= accessible(身近)」という二本柱をどうバランスさせるかが鍵となりそうです。
タンドン氏という実績あるリーダーが加わったことで、Nothingは「尖ったブランド」から「本格的な規模拡大」を目指す段階に入ったといえます。今後の動きが業界全体から注目されるのは間違いありません。