
Googleの最新スマートフォン「Pixel 10」シリーズは、12GBのRAMを標準搭載しています。しかし、そのすべてをアプリやゲームに使えるわけではありません。Googleは今回から約3GBのメモリをAI専用領域として確保し、アプリが利用できるのは実質8~9GB程度に制限されています。
Pixel 9からの変化
前世代のPixel 9では、標準モデルの12GBモデルはAI専用のメモリを確保せず、必要に応じてAIモデルを読み込む仕組みを採用していました。一方で、上位のPixel 9 Pro(16GB RAMモデル)は約3GBをAI処理に割り当て、より高速な応答を実現していました。

Pixel 10では、この“Pro仕様”が標準モデルにも導入され、AIコアとTensor G5のTPU用に常時3GBが確保されています。そのため、アプリやゲーム向けに使える容量は減るものの、AI機能の応答速度は大幅に向上しました。
なぜAI専用メモリが必要なのか
音声翻訳や通話文字起こし、Pixel Journalなど、Pixel独自のAI機能は日常的に利用するシーンが増えています。AIモデルは数GB単位のサイズがあるため、毎回読み込み直すと時間がかかります。そこで常にメモリ上に展開しておくことで、アプリのように即時に起動できるようにしているのです。
ユーザーへの影響
一般的な利用であれば、8GB前後のメモリは十分で、複数アプリを同時に立ち上げたり、ゲームをプレイしても快適に動作します。ただし、重いマルチタスクを頻繁に行うユーザーや、大規模なゲームを同時にこなしたい層には、16GB RAMを搭載するProモデルの方が安心かもしれません。
逆にAI機能をほとんど使わない人にとっては、3GBが常に占有されているのはややもったいなく感じられるかもしれません。しかし、GoogleはPixelの体験そのものをAIに寄せているため、この仕様は今後の方向性を示すものといえます。
総括
Pixel 10はAIを中心に据えた設計へとさらに踏み込んだモデルです。3GBをAI専用に固定するという大胆な仕様変更は、快適なAI体験を求めるユーザーにとってはメリットとなります。一方で、メモリの自由度を重視するヘビーユーザーにとっては物足りなさを感じる可能性もあります。Pixelシリーズが「AIスマホ」として進化していく中で、この仕様をどう受け止めるかはユーザー次第といえるでしょう。