
ASUSのゲーミングブランド「Republic of Gamers(ROG)」は、AI処理機能を標準搭載したWi-Fi 7ルーター「ROG Rapture GT-BE19000AI」を正式発表しました。今年1月のCES 2025で披露されて以来注目を集めていたモデルで、ゲーミング、高画質配信、スマートホームなど“重いネットワーク負荷”の現場を前提に設計された、これまでにないタイプのルーターです。
AI専用プロセッサと大容量メモリ

最大の特徴は、ルーターとしては世界初となる「Neural Processing Unit(NPU)」を内蔵している点です。内部にはクアッドコアCPU、4GB DDR4 RAM、32GBストレージを搭載し、単なるネットワーク機器ではなく、小型サーバーのような構成を採用。AI処理や自動化タスクをルーター単体で実行できるため、別途PCやNASを用意する必要はありません。
Dockerアプリを直接動かせる“多機能ハブ”
GT-BE19000AIは、Docker Engineを標準搭載し、CLIとComposeにも対応しています。
AdGuardやFrigate、スマートホーム向けAIアシスタントといったコンテナアプリをルーター内で稼働させることができ、広告ブロック、ブラウジングのセキュリティ強化、IoT管理など、多数の役割を一台で兼任します。

Wi-Fiだけでなく、スマートホームの中枢装置として利用できる点が、従来のルーターと大きく異なるポイントです。
自動で干渉を回避する「WiFi Insight」
ネットワークの混雑や干渉を自動で解析し、通信経路やチャンネルを最適化する「WiFi Insight」も注目の機能です。Wi-Fiだけでなく非Wi-Fi帯域も監視し、状況を可視化しながら自動調整。
ゲーム向けには「AI Game Boost」を搭載し、デバイスや通信の内容を判別してリアルタイムで優先度を変更します。ASUSの内部テストでは、レイテンシが最大34%改善したとしています。
最大19Gbps、10G×2・2.5G×4の高帯域仕様

通信性能はWi-Fi 7(320MHz、4096-QAM)に対応し、理論値で最大19Gbps。
有線も10ギガビット×2、2.5ギガビット×4を備え、最大31Gbpsの合計帯域を提供します。20Gbpsリンクアグリゲーションにも対応し、複数端末を高速かつ安定した環境で運用できます。
冷却構造も強化、セキュリティも企業レベル
内部の冷却プレートは従来比30%厚く、ナノカーボンコーティングで放熱効率を18%向上。負荷が高いAI処理やゲーム通信でもパフォーマンス低下を抑えます。
「AiProtection」による企業級のセキュリティや、最大5つのSSIDを分けられる「Guest Network Pro」も搭載。ゲーム専用、IoT、VPN、ゲストなど用途ごとに帯域や権限を分離できます。
主な仕様
- 規格:IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax/be、IPv4 / IPv6
- 最大スループット:
- 2.4GHz:4×4 最大1,376Mbps
- 5GHz:4×4 最大5,764Mbps
- 6GHz:4×4 最大11,529Mbps
- メモリ:4GB DDR4、32GB eMMC
- チップセット:BCM4916/BCM6726/BCM67263
- ポート構成:10G×2、2.5G×4、1G×1
- USB:USB 3.0×1、USB 2.0×1
- アンテナ:外付け8本
- サイズ:35.41 × 350.41 × 220.6mm
- 重量:約2kg
高度なAI処理、スマートホーム制御、ゲーミングを同時にこなす「ルーター兼オールインワンサーバー」のような存在で、ハイエンドユーザーの注目を集めそうです。発売時期や価格は現時点で明かされていませんが、今年のネットワーク機器市場で最も話題になる製品の一つになるのは間違いなさそうです。

