
Appleが次期iPhone向けのDRAM調達において、Samsungへの依存度を大きく高めていることが明らかになりました。報道によると、SamsungはiPhone 17シリーズ向けDRAMの約6〜7割を供給する最大のサプライヤーとなり、その供給体制は来年登場予定のiPhone 18シリーズにも及ぶ見通しです。
DRAM不足を背景にSamsungとの関係を強化
世界的なDRAM不足が続く中、Appleも例外ではなく、価格上昇を避けるため迅速な対応を迫られていたとされています。これまでAppleはSamsungやSK hynixと長期契約を結んできましたが、それらが来年初めに期限を迎えることから、供給の安定性を重視した新たな判断に踏み切ったようです。
その結果、Samsungとの協力関係が一段と強化され、iPhone 17シリーズだけでなく、次世代モデルであるiPhone 18シリーズ向けのDRAM供給にもSamsungが深く関わることになったと伝えられています。
Appleの厳格な仕様に応えられる唯一の存在
Appleは調達面で価格交渉力を確保するため、複数サプライヤーを採用する傾向があります。しかし、今回のケースでは、Appleが求める厳格なDRAM仕様を量産レベルで満たせるメーカーが事実上Samsungに限られている可能性が高いとされています。
SK hynixもAppleの重要な供給元ですが、現在はHBM(高帯域幅メモリ)への生産集中を進めており、SamsungはDDR5やLPDDR5Xへの注力を強めることで、収益性と供給能力の両立を図っている状況です。
iPhone 18で進む高性能化とSamsungの技術力
来年第3四半期に登場すると噂されるiPhone 18シリーズでは、AI処理性能の向上を目的に、6チャネル構成のLPDDR5Xメモリが採用されるとの見方があります。この構成は高い帯域幅と安定性が求められ、品質と供給量の両立が不可欠です。
Samsungの12GB LPDDR5Xメモリは、厚さ0.65mmという極薄設計に加え、放熱性能を約21%改善し、消費電力も約25%削減しているとされます。さらに、Apple独自仕様はJEDEC標準を上回る厳しさで、A19やA20シリーズのチップでは瞬間的な電圧変動すら許容されないといいます。こうした条件を満たせる点も、Samsungが選ばれた大きな理由とみられます。
DRAM価格上昇がSamsungの収益を押し上げる見通し
DRAM不足の影響で、12GB LPDDR5Xメモリの価格は年初の約30ドルから現在は約70ドルまで上昇していると報じられています。この市況は、Samsungの2026年の営業利益を大きく押し上げる要因になると見られています。
一方のAppleは、iPhone 17およびiPhone 18向けに大規模な発注を行うことでコスト上昇を吸収すると同時に、AシリーズSoCやC2 5Gモデムの自社開発によって、全体としての部品コスト最適化を図る戦略を取っているようです。
AppleとSamsungの関係は競合と協力が交錯する複雑なものですが、少なくとも次世代iPhoneの中核を支えるDRAM分野では、Samsungの存在感がこれまで以上に高まっていると言えそうです。
