サムスン、1nmチップ開発に特化した新チームを結成──量産は2029年を目標に

半導体技術の限界を打ち破るべく、サムスンが1ナノメートル(nm)プロセスの開発に本格的に乗り出しました。同社はすでに開発専任の新チームを立ち上げ、次世代チップの量産体制に向けて動き始めています。ただし、量産の開始は2029年が目標とされており、製品化まではまだ時間がかかりそうです。

「夢のプロセス」へ、技術者たちが結集

韓国メディアのsedailyの報道によると、サムスンはこの1nmプロセスを「ドリーム・セミコンダクタ・プロセス」と位置付けており、最先端の半導体技術を形にするため、社内の熟練エンジニアを集めた新チームを構成しました。

このプロジェクトでは、「High-NA EUV(極端紫外線)露光装置」の導入が鍵を握ります。従来よりも高精度な露光を可能にするこの装置は、1nmの微細加工には不可欠とされていますが、現時点でサムスンが導入を正式に決定したかどうかは明らかになっていません。

ライバルTSMCも着実に前進、サムスンは挽回狙う

一方で、サムスンの最大の競合である**TSMC(台湾積体電路製造)**は、すでに2nmプロセスのウェハー受注を2025年4月初旬から開始。さらに、1.4nmノードの開発にも着手していると伝えられています。

これに対し、サムスンは現在、2nm GAA(Gate-All-Around)プロセスの試験生産を進行中で、歩留まり(良品率)は約30%と報じられています。これは3nm世代からの改善ではあるものの、商用レベルにはまだ課題が多い段階です。

なお、サムスンが以前に1.4nmプロセスの開発をキャンセルしたという情報もあり、これは2nmへのリソース集中によるものと見られています。今回の1nm開発は、そこからの方向転換とも受け取れます。

2029年の量産に向けた長い道のり

仮に1nmチップの試作に成功したとしても、量産までにはさらなる技術検証や設備投資が必要です。特にHigh-NA EUV露光装置の確保は業界全体でも課題となっており、導入には時間とコストがかかる見通しです。

サムスンが2029年という中長期的なスケジュールを掲げていることからも、このプロセスがいかに挑戦的なものであるかがうかがえます。今後、プロトタイプの開発状況や量産技術の進展に関する情報が順次公開されていくと予想されます。

未来の半導体競争、1nmが新たな主戦場に

現在、2nmの技術開発が業界の焦点となっているなか、サムスンは一歩先を見据えた形で1nmの開発に踏み出しました。市場ではTSMCの動きが先行しているものの、もしサムスンが1nmで技術的なブレイクスルーを実現すれば、勢力図を塗り替える可能性も十分にあります。

高性能チップの需要がますます高まるAIやモバイル、データセンター分野において、次世代プロセス技術は企業の競争力そのものを左右する重要な鍵です。サムスンの動向は今後も注目を集めることになりそうです。

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