Nothing Phone (3)、画質向上のためPWM周波数を「ダウングレード”」 一部ユーザーに悪影響の懸念も

スマートフォンの画面調整は、美しさと快適性のバランスが求められる繊細な領域です。Nothingが今秋発売予定の「Nothing Phone (3)」では、このバランスに大きな変更が加えられたことが明らかになりました。


明るさを下げるとPWM周波数も低下

Nothingによると、Phone (3)のディスプレイは、暗い環境での表示品質を向上させる目的で、PWM(パルス幅変調)周波数を2160Hzから960Hzへ引き下げる仕様変更が行われています。これは、ソフトウェアアップデートによって導入され、最終的な製品版に反映されるとのことです。

ただし、明るさを一定以上に上げれば従来通り2160Hzで動作できるポテンシャルは残っているとされており、変更はあくまで低輝度時に限定されています。Nothingはこの点について次のように説明しています。

「暗い環境での表示品質が最も良くなる設定を選びました。最終ソフトウェアでは画質を優先しています」
ー Nothing スポークスパーソン(2025年7月18日)


PWMとは? そしてなぜ重要なのか

PWM(パルス幅変調)は、OLEDディスプレイなどで明るさを調整するための一般的な技術です。画面の明るさを下げる際、実際にはピクセルの点滅頻度を上げ下げすることで人の目に「暗くなった」と感じさせます。

ほとんどの人にとってはこの仕組みは意識されないほど自然に機能していますが、一部の人には頭痛や目の疲れ、ひどい場合には吐き気やめまいなどの体調不良を引き起こすこともあると報告されています。そのため、高いPWM周波数は「画質向上」だけでなく、「快適に使用するための必要条件」ともされているのです。

特に、1,000Hz未満のPWMは体感的なフリッカー(ちらつき)を引き起こしやすく、過敏な人には深刻なストレスとなり得ます。


業界全体で高PWM化が進む中での逆行

最近では、ディスプレイの健康面への配慮が広がっており、たとえばHonorの「Magic 6 Pro」は、30%以下の低輝度時でも4,320Hzの高周波PWMを実現。Googleの次期Pixel 10シリーズにも高PWM採用の噂があり、各社ともユーザーの快適性に目を向け始めています。

その流れの中で、Nothingの今回の「画質優先によるPWM引き下げ」はやや逆行しているとも受け取れます。特に、感受性の強いユーザーからは、「画質よりも目の疲れにくさを優先した設定が選べるようにすべき」といった声も挙がっています。


スマートフォンは日常のあらゆる場面で使うデバイスだからこそ、見た目の美しさと身体的な快適性の両立が求められます。Nothing Phone (3)は、暗所での表示品質向上という意味では魅力的な進化を遂げていますが、その一方で一部ユーザーにとっては使用感が悪化する可能性も否定できません。

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Nothing/CMF Phone
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