
Qualcommの最新フラッグシップSoC「Snapdragon 8 Elite Gen 5」のエンジニアリングサンプルによるベンチマーク結果が公開されました。テストでは、マルチコア性能で世界最速を記録し、ついにAppleのA19 Proを上回ったことが確認されています。しかしその裏側には、効率性を犠牲にした代償も見えてきました。
シングルコアではAppleが依然リード
テストを行ったのは中国のテック系YouTuber「Geekerwan」。Geekbench 6による検証では、Snapdragon 8 Elite Gen 5のシングルコアスコアは3,846で、A19 Proの4,019にわずかに及ばず。差は約4.5%まで縮まったものの、単一スレッド性能においてはAppleが依然として優位に立っています。

マルチコアで世界トップに
一方、マルチコア性能では状況が一変。Snapdragon 8 Elite Gen 5は12,546ポイントを記録し、前世代比で22.5%向上。A19 Proの11,054ポイントを13.5%上回り、現時点で「世界最速のモバイルCPU」となりました。
比較対象として、MediaTekの最新「Dimensity 9500」は10,716ポイントに留まっており、性能面ではQualcommが大きくリードしていることがわかります。
消費電力と効率性の課題
しかし、この圧倒的な性能には代償があります。Snapdragon 8 Elite Gen 5のエンジニアリングサンプルは、Geekbench 6実行時に最大19.5Wを消費。これはA19 Proの12.1Wと比べて61%も高い数値であり、電力効率では大きく劣っています。

性能あたりの効率を示す「Performance per Watt」では以下のような結果となりました。
- Snapdragon 8 Elite Gen 5:643.38ポイント/W
- A19 Pro:913.55ポイント/W
- Dimensity 9500:595.33ポイント/W
この結果から、A19 ProはSnapdragon 8 Elite Gen 5に比べて42%高い効率性を誇り、電力あたりの性能で依然として業界トップの座を守っています。
今後の展望
今回の数値はあくまでエンジニアリングサンプルのものであり、製品版では消費電力や効率が最適化される可能性があります。それでも現時点で明らかなのは、「Snapdragon 8 Elite Gen 5はマルチコア性能で頭一つ抜けた存在になった一方、効率性ではAppleのA19 Proが世代を超えた優位性を維持している」という点です。
スマートフォンの進化において「パフォーマンス」と「省電力性」の両立がどこまで実現できるのか、今後登場する製品版での検証に注目が集まりそうです。