
AppleのiPhoneは2007年の初代モデル登場から現在に至るまで、外観や機能だけでなく、内部の処理性能においても劇的な進化を遂げてきました。とくに注目すべきは「頭脳」にあたるCPUの進化です。現在のiPhoneに搭載されているチップは、初代iPhoneのそれと比べてなんと約385倍の性能を発揮しています。さらに、今年後半に登場する予定のA19シリーズでは、この性能差が500倍に達する可能性もあると言われています。
2007年──世界を変えた初代iPhoneの始まり
2007年6月29日、Appleが発表した初代iPhoneは、当時としては革新的なデバイスでしたが、今振り返れば非常に制限の多いものでした。通信はEDGE(2G)回線のみ、YouTubeを見るにもWi-Fiが必須で、ブラウザ使用中は電話を受けることすらできませんでした。
搭載されていたCPUはSamsung製のARM11ベース、クロック周波数は412MHz。メモリはわずか128MBで、バッテリー容量も1,400mAhと、今となっては「超低スペック」とも言える内容でした。
驚異の成長を遂げたAシリーズチップ
その後、Appleは独自開発のAシリーズプロセッサを軸にiPhoneの性能を年々向上させてきました。2013年のiPhone 5sに搭載された「A7」で64ビットアーキテクチャへ移行し、以降もTSMCやSamsungといった半導体メーカーとタッグを組みながら、チップの高性能化・省電力化を進めています。
たとえば、2023年に登場した「A16」では高性能と効率のバランスが両立され、2024年の「A18 Pro」では、8GBのメモリや4,685mAhのバッテリー、さらには48MPのカメラ性能を十分に支える実力を持つまでに成長しました。
性能は約385倍、来年には「500倍」も視野に
日本の技術系メディア「PC Watch」によると、初代iPhoneからiPhone 16シリーズに至るまでのCPU性能は、約384.9倍に向上したとされています。この計測には、CPU性能を比較できる「Geekbench」というベンチマークツールが使用されています。
そして、2025年後半に登場するとされるA19/A19 Proチップは、TSMCの第3世代3nmプロセスで製造され、さらに高いパフォーマンスと電力効率が期待されています。仮にこの予測通りに性能が上昇すれば、初代iPhone比で500倍以上の性能に到達する可能性も十分にあります。
半導体技術の進化がiPhoneの未来を形作る
A19シリーズに続き、2026年には「A20」チップが2nmプロセスで登場予定。半導体の世界では、プロセスノードが小さくなるほどトランジスタの密度が上がり、性能と省電力性が両立しやすくなります。さらにTSMCは、2028年後半には1.4nmプロセスの量産開始を計画しており、iPhoneの処理能力は今後も確実に進化を続けるでしょう。
iPhoneの進化は、単なる新機能の追加やデザイン変更にとどまらず、その根幹であるチップ設計における飛躍があってこそ実現しています。初代モデルから約17年、Appleは驚異的なペースでCPU性能を高めてきました。そしてこの進化は、今後も止まる気配がありません。次世代iPhoneがどこまでの進化を遂げるのか、今から楽しみです。