ゴリラガラスは廉価モデル向けに?OEMが独自ガラスへ移行する理由

近年、多くのスマートフォンメーカーがCorningのGorilla Glassから独自のガラス保護技術へ移行する動きを見せています。かつてはGorilla Glassが耐久性の高いディスプレイ保護ガラスの代表格でしたが、最近ではHONORやXiaomiといったメーカーが自社開発のソリューションを採用するケースが増えています。この背景には、コストや技術的な必要性が関係しているようです。

HONORの独自ガラス採用の理由

Android Authorityによると、HONORは2021年に曲面ディスプレイに適したガラスセラミック技術が市場に存在しなかったため、独自に研究開発を進める必要があったと述べています。その結果、同社は「NanoCrystal Shield」という新しい保護ガラスを開発し、2021年の「HONOR Magic 3 Pro Plus」に初めて採用しました。2024年には「HONOR Magic 6」にも次世代版が搭載され、より高い耐久性を実現しています。

しかし、HONORはGorilla Glassを完全に排除したわけではなく、「Number」シリーズや「X」シリーズでは依然としてGorilla Glassや他のサードパーティ製の保護ガラスを使用しています。一方で、ガラスセラミック技術は従来の強化ガラスよりもコストが高いため、自社開発ガラスはフラッグシップモデルに限定して採用しているとのことです。

Xiaomiも独自ガラス「Shield Glass」を導入

Xiaomiも最近のフラッグシップモデル「Xiaomi 15 Ultra」に「Shield Glass 2.0」を採用しています。XiaomiはAndroid Authorityに対し、自社開発の保護ガラスを選択した理由として「耐久性とパフォーマンスの最適化」を挙げています。さらに、Xiaomiは廉価モデルではGorilla Glassを継続して使用しており、例えば「Redmi Note 14 Pro Plus」ではCorning製のガラスが採用されています。

また、Xiaomiはカメラレンズの保護にもGorilla Glassを使用しており、「Xiaomi 15 Ultra」のカメラレンズには「Gorilla Glass 7i」が採用されていることが明らかになっています。これにより、同社が完全にGorilla Glassを排除しているわけではなく、適材適所で使い分けていることがわかります。

Corningの対応と今後の展望

Corningはこのトレンドに対し、「私たちは引き続きグローバルな消費者ニーズに応えるために強化ガラスのイノベーションを進めている」と述べるにとどまり、具体的な方針やOEMの動向についてはコメントを控えています。しかし、SamsungのUltraシリーズには「Gorilla Armor」や「Gorilla Armor 2」が採用されており、これらがSamsung専用技術となっている可能性もあります。

独自ガラス vs. Gorilla Glass、どちらが優れているのか?

耐久性の観点では、HONORは「NanoCrystal Shield」が従来の化学強化ガラスよりも優れた耐落下性能を持つと主張しています。同社の社内テストによれば、1.5メートルの高さから粗い路面に落下させた際、NanoCrystal Shieldの破損率は「従来の化学強化ガラス」の10分の1だったとのことです。

また、スクラッチ耐性については、HONORのガラスとGorilla Glass Victus 2がともにMohs硬度5~6の範囲にあり、大きな違いはないと説明されています。しかし、YouTuberのJerryRigEverythingによるテストでは、Samsung Galaxy S24 UltraのGorilla ArmorはMohs硬度7で細かい傷が付き、8で深い傷がつくことが確認されています。これはHONORのNanoCrystal Shieldよりも優れたスクラッチ耐性を持つ可能性を示唆しています。

Xiaomiの「Shield Glass 2.0」も、Xiaomi 14 Ultraと比較して落下耐性が25%向上したとされていますが、Gorilla ArmorやArmor 2との直接比較データは提供されていません。また、Xiaomiの保護ガラスは「マイクロクリスタルガラス」とされており、一般的なセラミックガラスとは異なる特性を持つことも特徴です。

Gorilla Glassなしのスマホは買うべきか?

Apple、Google、Samsungといったメーカーは引き続きCorningのソリューションを採用しており、Gorilla Armorのような最先端技術はSamsungのUltraシリーズ専用となっている可能性が高いです。そのため、他のOEMがGorilla Armorを採用できない状況で、耐久性を向上させるために独自の保護ガラスを開発するのは理にかなっています。

一方で、HONORの「NanoCrystal Shield」やXiaomiの「Shield Glass」などの独自ガラスが、最新のGorilla Armorと同等またはそれ以上の耐久性を持つかどうかは、まだ明確ではありません。しかし、これらのガラスは従来のGorilla Glassよりも優れた耐久性を持つ可能性があり、特にフラッグシップモデルにおいては十分な耐久性を期待できるでしょう。

とはいえ、Gorilla Armorにはアンチグレアコーティングという独自の強みがあり、これがOEMのガラスには見られない点も事実です。耐久性だけでなく、視認性や指紋防止効果なども考慮すると、Gorilla Armor搭載のスマホの方がより快適なユーザー体験を提供する可能性があります。

現時点では、各メーカーの独自ガラスがGorilla Glassを完全に凌駕するとは言えませんが、耐久性の向上を求めるユーザーにとっては有力な選択肢となるでしょう。

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