
Googleが次世代のTensor Processing Unit(TPU)で、長年のパートナーであるBroadcomからMediaTekへとシフトする可能性が浮上しています。これは、AI市場の競争が激化する中、コスト最適化と自社開発強化を狙った戦略的な動きと考えられます。
GoogleのTPU戦略に変化の兆し
Googleは2015年からAI向けの専用チップであるTPUをBroadcomと共同開発してきました。現在、2017年~2021年に開発された世代のTPUがクラウドサービス向けに活用されており、2025年には新たな世代のTPUが登場する予定です。しかし、この2025年モデルがBroadcom製TPUの最後の世代になる可能性があると、関係者の証言をもとに報じられています。
この背景には、台湾の半導体メーカーTSMCと密接な関係を持つMediaTekが、Googleに対してBroadcomよりも低コストでチップを供給できるという事情があります。GoogleはすでにNVIDIAの最新AIチップ「Blackwell」を100億ドル規模で発注しており、TPUとGPUの両軸でAI計算能力を強化しながら、コスト削減も視野に入れていると見られます。
MediaTekはI/Oモジュールを担当、Googleは設計を内製化へ
今回の提携が実現した場合でも、MediaTekが手掛けるのはTPUのI/Oモジュール部分のみで、チップの主要設計はGoogleが自社開発する方針です。さらに、TSMCとの連携を強化し、品質管理にも関与するとされています。
実際、Googleは台湾で半導体設計エンジニアの採用を積極的に進めており、元TSMCの技術者も迎え入れているとのこと。これにより、GoogleはBroadcomへの依存を減らしながら、AIハードウェアの内製化を進める狙いがあるようです。
ただし、Googleは現在、AIモデルのトレーニング用TPUと、検索やYouTube、Geminiなどのサービス向けTPUの2種類を開発しており、MediaTekの参入がこれらの設計方針にどのような影響を与えるのかは、現時点では不透明です。
今後の展望
今回の動きによる一般ユーザー向けのAIサービスへの影響はほぼないと考えられますが、GoogleにとってはBroadcom依存からの脱却という大きな意味を持ちます。一方で、BroadcomもAppleやMeta、OpenAIなどの大手企業と提携しており、Googleとの関係が変化したとしても、すぐに大きな影響を受けることはなさそうです。
いずれにせよ、AIチップ市場の競争が激化する中、Googleがどのような戦略を取るのか、今後の動向が注目されます。