本日クアルコムが「サイレント発表」をした同社の最新ミッドレンジ向けチップセット、Snapdragon 6s Gen 3。
これまでの6シリーズの最新チップはSnapdragon 6 Gen 1でしたが、Gen 2を飛ばし、さらに無印のSnapdragon 6 Gen 3よりも先に6sがリリースされるという、少し珍しい展開になっています。
しかしこのSnapdragon 6s Gen 3。スペックをよく見ると、意外なことが分かってきました。
Snapdragon 695 | Snapdragon 6s Gen 3 | Snapdragon 6 Gen 1 | |
リリース年 | 2021 | 2024 | 2022 |
型番 | SM6375 | SM6375-AC (5G), SM-6370 (4G) | SM6450 |
プロセス | 6nm TSMC | 6nm TSMC | 4nm Samsung LPE |
CPU | 2x Cortex-A78 @ 2.2GHz + 6x Cortex-A55 @ 1.8GHz | 2x Cortex-A78 @ 2.3GHz + 6x Cortex-A55 @ 2.0GHz | 4x Cortex-A78 @ 2.2GHz + 4x Cortex-A55 @ 1.8GHz |
GPU | Adreno 619 | Adreno 619 | Adreno 710 |
メモリ | LPDDR4X | LPDDR4X | LPDDR5 |
ストレージ | UFS 2.2 | UFS 2.2 | UFS 3.1 |
ISP | 108MP photo capture; 32MP single camera with ZSL; 25MP + 13MP dual camera with ZSL; 13MP triple camera with ZSL | 108MP photo capture; 32MP single camera with ZSL; 25MP + 13MP dual camera with ZSL; 13MP triple camera with ZSL | 200MP photo capture; 48MP single camera with ZSL; 25MP + 16MP dual camera with ZSL; 13MP triple camera with ZSL |
動画撮影 | 1080p@60fps | 1080p@60fps | 4K@30fps |
モデム | Snapdragon X51 5G | Snapdragon X51 5G | Snapdragon X62 5G |
接続 | FastConnect 6200 | FastConnect 6200 | FastConnect 6700 |
まず、Snapdragon 6 Gen 1の製造プロセスが4mmなのに対し、6s Gen3は6mm。
クロックスピードは一概に比較できませんが、搭載GPUはSD6Gen1の方が上。
また対応するメモリやストレージ規格、カメラスペック、動画撮影、モデム、接続、全てにおいてSD6sGen3よりもSD6Gen1の方が優れています。
そしてこのSD6sGen3、よく見ると、クロックスピード以外のすべての仕様がSnapdragon 695と同じであることが分かります。
また、このSD6sGen3はモトローラの未発表ミッドレンジモデル「moto g85」に搭載されることが判明しており、以下はそのベンチマークスコア。
一方、以下はSD6Gen1搭載のXperia 10 VIのスコア:
両チップセットの間にはベンチマーク上でも大きな違いがあることが分かります。
ちなみに当サイトの機種別ベンチマーク一覧を見ると、このSD6sGen3のベンチマークスコアは:
スペックと同様、ちょうどSnapdragon 695搭載機と同じくらいになります。。
つまり、このSnapdragon 6s Gen 1は実質的にはスペック面でも性能面でもSnapdragon 695とほぼ同等といったところ。チップセット名に騙されないように気を付けましょう。
追記:最新の情報によると、Qualcomm自身がこのSD6sGen3について「SD695の強化版」と認めた模様です。
コメント
GPU分野でもNVIDIAなどが通った道ですが、所謂リネームというものですね。
言い換えれば焼き直しとも取れますが、基本設計は同じでクロックを挙げるといった小幅な変更しかされないことが多く、メーカーにとってもコストカットになりますが、ユーザーからすると性能がほぼ変わらないため地雷と言っても過言ではないでしょう。
場合によっては物価や為替の影響で、性能が横ばいなのにも関わらず、製品価格が上がっている可能性もあるので注意しましょう。
MediaTek社のDimensity等でも取られている手法です。
Snapdragon 7+ Gen2⇒Snapdragon 8 Gen 1
Dimensity 6020⇒Dimensity 700
Dimensity 6080⇒Dimensity 810
Dimensity 7020⇒Dimensity 930
Dimensity 7030⇒Dimensity 1050
Dimensity 7050⇒Dimensity 1080
Dimensity 8020⇒Dimensity 1100
Dimensity 8050⇒Dimensity 1300
Dimensity 6020⇒Dimensity 700
Dimensity 1080/7050⇒Dimensity 920のISPを200MPに強化したもの
https://note.com/haruto08/n/n6e0668c22901より引用
追記(修正):
クロックを挙げる⇒上げる
リネーム例末尾のDimensity 6020⇒Dimensity 700はコピペ消し忘れ
[補足]地雷と言っても過言ではない
⇒場合によってはコスパが改善することもあり、そういった場合は地雷とは言えないことがある
・価格が据え置き、値上げでベンチマークスコアが変化なしだと地雷といえる(コスパの悪化)
・価格が低下、ベンチマークスコアが4~5万点微増だと地雷では無いともいえる(コスパの改善)