スマートフォンの永遠の課題と言っても過言ではない「発熱問題」。
特に昨年のSnapdragon 8 Gen1搭載機はリリース当初から発熱問題が大きく取り上げられ、中でもXperia 1 IVは国内でも発熱によるパフォーマンス低下や機能障害・制限などが多数報告されました。
一方、ネット上の声を拾っていると、こういった発熱問題の報告は秋以降に急激に減少。
兄弟モデルのXperia 5 IVでも、Xperia 1 IVの発売時と比べると発熱関連のトラブル報告はかなり少なく、これは季節的な要因が大きいと思われます。
というわけで、今回は同一モデルにおいて、気温によってどの程度端末の性能に違いが出るのか、という点を検証してみたいと思います。
Xperia 1 IVの性能の夏・冬ベンチマーク性能比較
対象はXperia 1 IVのドコモ版(SO-51C)で、7・8月と12・1月のGeekbenchにおけるベンチマーク測定結果を比較。
Xperia 1 IV (7・8月) | Xperia 1 IV (12・1月) | |
シングルコア平均 | 1058 | 1142 |
シングルコア標準偏差 | 176 | 414 |
マルチコア平均 | 3030 | 3335 |
マルチコア標準偏差 | 123 | 190 |
ご覧のように、シングルコアでもマルチコアでも冬(12・1月)のベンチマーク平均が夏(7・8月)よりも1割前後高い、という結果に。
これは統計的にも十分有意な差をと言えると思います。
また、さらに興味深いのはCPU性能の安定性(あるいは不安定性)を示す指標となる標準偏差の違い。
この値は小さいほどスコアのばらつくが少なく、性能が安定していると言えますが、冬のマルチコアの標準偏差は夏のものと比べると半分以下。
つまり、Xperia 1 IVでは夏と冬とで平均して1割程度のベンチマーク性能の差が生じており、また、安定性という面でも冬の方がはるかに安定している、と言えます。
もちろんこれはアップデートによるバグの修正や熱抑制性能の向上なども寄与している可能性があるので、すべてが気温のせい、とは言えません。
ただ、やはりそれだけでは説明しがたい部分も多く、大部分は「季節要因」が大きいのではないかと重れます。
ちなみにSnapdragon 695搭載のXperia 10 IVでも同様の比較をしてみましたが、こちらでは季節によってXperia 1 IVのような顕著な違いはみられませんでした。
一方、冬は気温低下にともなってバッテリーの電圧が下がり、電池持ちが悪化するといったマイナス面もあるので、一概にどちらが良いとは言えない部分も。
ただ、純粋なパフォーマンスだけに焦点を当てると、少なくとも日本では冬の方がスマホ本来の性能を出しやすい、と言えそうですね。
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