米政府、中国AI企業6社を批判 米国製AIモデルの「蒸留」利用を問題視

米政府は、中国のAI企業が米国のAIモデルから得た出力を利用し、自社のAIシステムを開発しているとして批判しました。対象にはDeepSeek、Moonshot AI、Alibabaなど6社が含まれるとされ、米国側はこうした手法が大規模かつ組織的に行われていると主張しています。米中首脳会談を控えるタイミングでの発表だけに、AIをめぐる両国の対立がさらに注目されそうです。

AIモデルの出力を使って開発を効率化

今回、米政府が問題視しているのが「蒸留」と呼ばれる手法です。これは、大規模なAIモデルから得られた回答などの出力を利用して、より小型で低コストなAIモデルを訓練する技術です。

一般的なAI開発でも利用される手法ですが、米政府は中国企業が米国企業のAIモデルを利用して、自社モデルの開発を短期間かつ低コストで進めていると指摘しています。

米政府関係者によると、対象となった中国企業はAnthropic、OpenAI、Googleなどが開発したAIモデルの出力を利用したとされます。さらに、こうした活動には中国政府も関与している可能性があるとの見方を示しています。

米側は、単なる技術的な模倣ではなく、米国のAI企業が多額の費用を投じて開発してきた技術や知的財産を利用する行為だとして警戒を強めています。

AI技術が軍事・サイバー分野にも波及か

米政府は今回の問題について、AIモデルの開発コストを下げるだけでなく、中国の軍事能力やサイバー攻撃能力の向上につながる可能性も指摘しています。

Reutersは2026年7月、中国の軍事研究者が米国の主要AIモデルから得た出力を利用して国内向けAIシステムの訓練を行い、防衛分野での能力向上につなげようとしていると報じていました。

AIモデルの性能向上が急速に進むなか、最先端モデルそのものだけでなく、モデルから生成されたデータや出力をどのように扱うかも米中間の新たな争点になっています。

中国側は米国の主張を否定

これに対し、中国外務省の毛寧報道官は、米側の主張を否定しています。中国のAI技術の進歩は、高度な科学技術の自立に向けた取り組みの成果だと説明し、根拠のない非難をやめるよう米国側に求めました。

また、中国と米国はいずれもAI分野の主要国であるとして、AIの安全性をめぐる協力の必要性も訴えています。

今回の米政府による発表は、9月後半に予定されている米中首脳会談を前に行われたものです。両国はAIの安全性についても協議する予定とされており、AI技術をめぐる知的財産や安全保障上の問題が、今後の米中関係における重要な議題となる可能性があります。

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