
Qualcommが次世代フラッグシップ向けSnapdragonの新たな情報を公開しました。今回明らかになったのは、CPUやGPUではなくAI処理を担うNPUの進化です。
次世代のSnapdragon Eliteシリーズでは、スマートフォン上でAIエージェントを動作させることを強く意識した設計が採用される見込みです。Qualcommは、より大規模なAIモデルを端末内で処理できるようになると説明しています。
新型Hexagon NPUでAI処理を高速化
Qualcommは9月22日に開催するSnapdragon Summitで、次世代フラッグシップSoCを発表する予定です。名称は現時点で正式には明らかにされていませんが、Snapdragon 8 Elite Gen 6シリーズになるとみられています。

今回明らかになった新型Hexagon NPUでは、従来のスカラー、ベクター、テンソル演算ユニットに加えて、新たにElement Acceleratorを搭載します。
この専用アクセラレーターは、TransformerベースのAIモデルの推論処理を高速化するために設計されたものです。AIエージェントによる応答速度の向上や、複数の処理を組み合わせたタスクの効率化が期待されています。
さらに、4つの演算ユニットが共有するメモリも大幅に増やされます。AI処理で利用するKVキャッシュをSoC内により多く保持できるようになるため、スマートフォンのメインメモリへのアクセスを減らしながら、より大きなAIモデルを扱えるようになります。
最大300億パラメータのAIモデルを端末内で処理
今回のNPU強化で特に注目されるのが、MoE(Mixture-of-Experts)モデルへの対応です。
MoEは、AIモデル全体を常に動作させるのではなく、入力内容に応じて必要な専門モデルだけを選択して処理する仕組みです。これによって、モデル自体が大規模でも計算量やメモリ帯域幅の負担を抑えられます。
Qualcommによると、新しいNPUアーキテクチャでは最大300億パラメータのMoEモデルを端末上で動作させられるとしています。
クラウドへデータを送信せず、スマートフォンだけでより高度なAI処理を完結させられることが大きなポイントです。単純な生成AIへの質問だけでなく、ユーザーの指示を受けて複数の処理を連続して実行するAIエージェントの利用を想定した設計といえます。
INT4モデルではトークン処理性能も向上
Qualcommは新型NPUについて、INT4精度のモデルを対象に、プリフィル処理性能が50%向上するほか、デコード処理の高速化、投機的デコードの強化、1秒あたりの処理トークン数の向上などもアピールしています。
ただし、これはAI性能全体が一律50%向上するという意味ではありません。あくまで特定の条件における処理性能の改善であり、実際の速度は利用するAIモデルやアプリによって変わる点には注意が必要です。
これまでスマートフォン向けSoCではCPUやGPUの性能向上が大きく注目されてきましたが、次世代SnapdragonではNPUの重要性がさらに高まりそうです。
特にQualcommがAIエージェントを強く意識していることから、Snapdragon 8 Elite Gen 6世代では、クラウドに依存せず端末上でより複雑なAI処理を実行することが、フラッグシップスマートフォンの新たな競争軸になる可能性があります。

