
スマートフォン向けベンチマークアプリのAnTuTuが、最新バージョンとなるAnTuTu V12のパブリックベータ版を公開しました。今回のアップデートでは、単純にベンチマークスコアを競うのではなく、実際の利用環境に近い性能を評価できるようテスト内容を大幅に見直しています。CPU、GPU、メモリ、UXの4分野がそれぞれ刷新され、アプリのインターフェースも大きく変更されました。
CPUテストは性能と電力効率をより重視
CPUテストでは、シングルコアとマルチコアの評価方法が改良され、日常的な利用時におけるプロセッサーの動作をより反映することを目指しています。
特に、高い動作クロックによるピーク性能だけでなく、性能と消費電力のバランスも評価できるようテスト内容が調整されています。
AnTuTuは、実際のスマートフォンを使って測定したサンプルスコアも公開しています。測定時は室温を約26度、バッテリー残量を80%以上、画面輝度を300ニトに固定するなど、一定の条件を設定しています。

ただし、V12ではテスト項目やスコアリング方法そのものが変更されているため、従来のAnTuTuバージョンで測定したスコアと直接比較することはできません。今後はV12のスコアを基準に、新たな性能比較が行われることになりそうです。
GPUテストはよりリアルな描画性能を評価
GPUテストも大きく強化されています。
従来よりも細部まで描き込まれたリアルなグラフィックスを使用し、影や光の表現もより自然になりました。実際の高負荷なモバイルゲームを想定したテストへと近づけることで、GPUのグラフィックス性能をより実用的な形で評価することを狙っています。
さらに、Vulkanを利用した新しい「Cooperative Matrix」テストも追加されました。これはGPUの行列演算能力を評価するもので、AI処理などにも関係する計算負荷の高い処理を新たな評価項目として加えています。
単純な描画性能だけではなく、最新スマートフォンに求められる高度なGPU処理能力まで評価対象を広げた格好です。
メモリ性能も実際の利用環境を意識
メモリのテストにも新たな項目が追加されています。
複数の処理が同時に行われている状況でメモリの挙動を測定する動的レイテンシーテストに加え、メモリ使用量が増えて断片化した状態での性能を評価するテストも導入されました。

さらに、シーケンシャルおよびランダムの読み書きテストや、アプリケーションレベルのI/Oテストも改良されています。
外部要因による測定結果への影響を抑えながら、実際のスマートフォンでアプリを起動したりデータを読み書きしたりする際のメモリ性能を、より正確に把握することを目指しています。
インターフェースも大幅に刷新
ベンチマークそのものだけでなく、AnTuTuアプリの画面デザインも刷新されました。
新しいインターフェースでは、カード形式の情報フィードを採用し、コンテンツをカテゴリーごとに整理しています。必要な情報を見つけやすくなり、これまでより詳細なデータへアクセスしやすい構成になっています。
また、タブレットや折りたたみスマートフォンにも最適化され、大画面を活用して一度に表示できる情報量を増やしています。
さらに、Android 16の16KBページサイズにも対応しました。新しいAndroid端末やメモリ構成への対応を進めることで、今後登場するデバイスでも利用しやすい環境を整えています。
AnTuTu V12のパブリックベータ版は、AnTuTuの公式サイトや主要アプリストアを通じて順次提供されています。
今回のV12では、CPUやGPUのピーク性能だけを見るのではなく、電力効率やメモリの実際の挙動、より現実的なグラフィックス処理まで評価対象が広がりました。ベンチマークスコアそのものの意味も従来とは変わるため、今後のスマートフォン性能比較ではV12への移行が大きな節目になりそうです。

