PS5ゲームがSteam Deckで初起動! エミュレーターで実現も速度は0.6fps

Valveの携帯型ゲームPC「Steam Deck」で、PS5向けゲームをエミュレーター経由で動作させることに初めて成功したとみられる事例が報告されました。実際に起動したのはPS5にプリインストールされている「Astro’s Playroom」で、ゲーム画面まで到達することはできたものの、フレームレートはわずか約0.6fpsにとどまっています。現時点ではプレイできる状態にはほど遠いものの、PS5エミュレーションにおける一つの大きな進展といえそうです。

今回の検証では、PS5エミュレーターのSharpEmuを使用。Steam Deck上でPS5ゲームを直接エミュレーションするという、これまでほとんど現実味のなかった試みが実際に動作するところまで進みました。

「Astro’s Playroom」がSteam Deck上で起動

今回動作が確認されたのは、PS5本体に標準搭載されている「Astro’s Playroom」です。DualSenseコントローラーの機能を紹介するデモタイトルとして開発されたゲームで、PS5の性能や独自機能を体験できる作品として知られています。

Steam DeckでPS5ゲームをエミュレーター経由で起動したユーザーのIhc160氏による検証では、SharpEmuを利用することでゲームの起動に成功しました。SharpEmuの公式Xアカウントも、その様子を動画で公開しています。

ただし、起動できたからといってゲームを普通に遊べるわけではありません。

現在はPlayStation Studiosのイントロ画面やロード画面を抜けることすらできず、画面上のフレームレート表示はおおむね0.5~1fps、平均すると約0.6fpsで推移しています。つまり、1秒間に1コマにも満たない速度でしか描画できない状態です。

それでも、PS5タイトルをSteam Deck上でエミュレーターによって起動できたこと自体が、今回の大きなポイントとなっています。

0.6fpsでもコミュニティは意外と前向き

約0.6fpsという数字は、ゲームとしては到底プレイできるレベルではありません。そのため、Steam Deckのコミュニティではこの数字をネタにした反応も多く見られています。

一方で、今回の成果を単なるジョークとして片付けるべきではないという見方もあります。

エミュレーターの開発初期段階では、まずゲームを起動できること自体が大きなハードルです。フレームレートを実用的な水準まで引き上げるのは、その後の話になります。

実際、PS4エミュレーションも初期にはほとんど進展していないように見える時期がありましたが、現在では高性能なPCを使えば、比較的負荷の高いPS4タイトルを動かせるケースも登場しています。

そのため、今回の0.6fpsという数字だけを見て、Steam DeckでのPS5エミュレーションに未来がないと判断するのは早いかもしれません。

PS5とSteam Deckは同じAMD系でも性能差は大きい

もっとも、PS5ゲームをSteam Deckで実用的に動作させるまでには、かなり高い壁がありそうです。

PS5とSteam DeckはいずれもAMD製プロセッサを採用しており、CPUにはZen 2、GPUにはRDNA 2をベースとするアーキテクチャを採用しています。そのため、ハードウェアの設計思想には共通点があります。

しかし、実際の規模には大きな差があります。

PlayStation 5Steam Deck
CPUアーキテクチャAMD Zen 2AMD Zen 2
CPUコア数8コア4コア
GPUアーキテクチャRDNA 2RDNA 2
Compute Units36基8基
主な用途据え置き型ゲーム機携帯型ゲームPC

PS5はCPUを8コア搭載し、GPUも36基のCompute Unitsを備えています。一方、Steam DeckはCPUが4コア、GPUが8基のCompute Unitsとなっており、単純なスペック比較でも大きな差があります。

さらに、エミュレーションではゲームそのものを動かす処理に加えて、異なるハードウェア環境を再現するための追加処理も必要になります。そのため、PS5向けゲームをそのままSteam Deckで動かす場合、実機以上に高い処理能力が求められる可能性があります。

将来的に一部のPS5タイトルが動く可能性も

現時点でSteam Deck上のPS5エミュレーションは、まだ実験段階と言ってよいでしょう。0.6fpsではゲームとして楽しむことはできず、今回の成果もあくまで「PS5タイトルが起動した」という技術的なマイルストーンです。

ただ、エミュレーターはソフトウェアの改良によって性能が大きく変わる分野でもあります。今後SharpEmuの開発が進み、最適化や互換性の改善が重なれば、将来的には一部のPS5タイトルがSteam Deckで動作する可能性も完全には否定できません。

もちろん、すべてのPS5ゲームをSteam Deckで快適に遊べるようになるとは限りません。PS5とSteam Deckにはハードウェア性能にかなりの差があるため、仮に実用化が進んだとしても、タイトルごとに結果は大きく異なると考えられます。

それでも、これまでほぼ不可能と思われていたPS5ゲームのSteam Deck上での起動が、すでに実現したのは興味深いところです。現状の0.6fpsから、今後どこまで性能を引き上げられるのか、PS5エミュレーションの進化に注目が集まりそうです。

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