
スマートフォンの通話は「電波があって当たり前」という前提が崩れつつあります。Xiaomiが一部最新機種に搭載した新機能「Xiaomi オフラインコミュニケーション」は、モバイル回線やWi-Fiを使わず、端末同士を直接つないで音声通話を行えるのが特徴です。
国内ではすでに発売されているXiaomi 15T / Xiaomi 15T Proがこの機能に対応しており、今後日本投入が期待されるPOCO F8 Pro / POCO F8 Ultraでも利用可能になる予定です。
モバイル回線不要で“直接通話”が可能
Xiaomi オフラインコミュニケーションは、Bluetooth通信とXiaomi独自プロトコルを組み合わせた近距離通信技術です。
基地局やインターネットを経由せず、対応するXiaomi端末同士を直接接続することで、通信圏外でも音声通話が可能になります。
開けた場所・障害物の少ない環境では、
- Xiaomi 15T Pro:約1.9km
- Xiaomi 15T:約1.3km
と、Bluetooth通信としてはかなり長距離の通話を実現しています。
通常のSIM通話との違いは?
一般的な音声通話は、携帯電話基地局を経由するため、当然ながら通信エリア外では利用できません。一方、Xiaomi オフラインコミュニケーションは端末間の直接通信のため、電波が届かない場所でも連絡手段を確保できる点が最大の違いです。
ただし、万能ではありません。都市部や建物内など障害物が多い環境では通信距離が大きく短くなるほか、通常の通話のような安定性を常に期待できるわけではありません。
あくまで「ネットワークが使えない特殊な状況向け」の補完的な通話手段と考えるのが現実的でしょう。
利用条件と注意点

この機能を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 対応機種を使用していること
- SIMカードが挿入されていること
- Xiaomiアカウントにログインしていること
- Bluetoothが有効になっていること
なお、Bluetoothは必須ですが、Bluetoothイヤホンには現在非対応です。また、この機能は緊急通報や人命救助を目的としたものではない点も明記されています。
対応機種と提供状況
現時点で公式に対応が案内されている機種は以下の通りです。
- Xiaomi 15T
- Xiaomi 15T Pro
- POCO F8 Pro
- POCO F8 Ultra
Xiaomi 15Tシリーズでは、2025年9月24日以降、OTAアップデートで順次提供されています。ただし、国や地域によって提供状況は異なり、一部地域では最適化やメンテナンスのため一時的に利用できない場合があります。
現時点ではベトナム、フィリピン、台湾で一時停止中とされていますが、作業完了後はOTAアップデートにより復旧予定とされています。
「圏外=不通」ではなくなる未来への一歩
Xiaomi オフラインコミュニケーションは、日常的に使う主力の通話手段というより、災害時やアウトドア、通信インフラが弱い環境で真価を発揮する機能と言えそうです。
国内ですでに対応しているXiaomi 15Tシリーズに加え、POCO F8 Pro / F8 Ultraの日本展開が実現すれば、同機能がより身近な存在になる可能性もあります。今後、対応機種や機能の進化がどこまで進むのか、引き続き注目したいところです。

