Dimensity 9500はSnapdragon 8 Eliteを超えたのか?最新ベンチマークで見えた実力差

MediaTekは2024年に投入したDimensity 9400で存在感を示したものの、当時の王者Snapdragon 8 Eliteの牙城は崩せませんでした。しかし今年9月、その後継としてDimensity 9500が登場。MediaTekは「大幅な性能向上」「電力効率の改善」「AI処理の強化」を謳い、再びQualcommへ真っ向から挑んでいます。

果たして新チップは本当にEliteを超えたのか。実機によるベンチマークをもとに比較していきます。


基本仕様を比較

まずはスペックを整理します。両チップともTSMCの3nmプロセスで製造されていますが、Dimensityはより新しい「N3P」、Snapdragonは「N3E」を採用しており、理論上はMediaTekの方が効率面で優位とされます。

項目Dimensity 9500Snapdragon 8 Elite
発表時期2024年9月2024年10月
製造プロセスTSMC 3nm(N3P)TSMC 3nm(N3E)
CPU構成1×4.21GHz(C1-Ultra)
3×3.5GHz(C1-Premium)
4×2.7GHz(C1-Pro)
2×4.32GHz(Oryon第2世代)
6×3.53GHz(Oryon第2世代)
GPUMali-G1 Ultra(12コア)
120fpsレイトレーシング対応
Adreno 830
レイトレーシング対応
メモリLPDDR5X(最大5.3GHz)LPDDR5X(最大5.3GHz)
ストレージUFS 4.1(4レーン)UFS 4.0
カメラ最大320MP、8K撮影、4K/120fps動画(EIS)最大320MP、8K撮影、18bitトリプルISP
通信5G下り最大7.4Gbps
Wi-Fi 7最大7.3Gbps
5G下り最大10Gbps、上り3.5Gbps
Wi-Fi 7最大5.8Gbps

仕様段階では、Wi-FiはMediaTek、モバイル通信はQualcommが優位という構図が見えます。


Geekbench:CPU性能はMediaTekが上回る

実機検証として、Dimensity 9500搭載のVivo X300 Pro、Snapdragon 8 Elite搭載のXiaomi 15で測定。

Geekbench 6Dimensity 9500Snapdragon 8 Elite
シングルコア3,4523,047
マルチコア10,1289,286

シングルで約13%、マルチで約9%の差。体感レベルでもアプリ起動や動作が軽快になる可能性が高い結果です。


AnTuTu:総合スコアで約22%差、GPUが大幅強化

AnTuTu v11Dimensity 9500Snapdragon 8 Elite
総合スコア3,622,8402,981,542
CPU942,069909,797
GPU1,364,4411,091,509
メモリ602,541392,463
UX713,788587,773

特にGPU性能は25%超えの上昇が確認され、ゲームや映像処理での優位性が明確です。メモリ・UX性能も高く、マルチタスクやアプリ遷移の滑らかさに期待できます。


3D Mark:持久戦もDimensityの勝利

GPUの瞬間力だけではなく、長時間駆動での維持性能も検証。

3D Mark Wild Life ExtremeDimensity 9500Snapdragon 8 Elite
高負荷時スコア7,1634,809
持続スコア4,2303,625

短期で約49%、長期で約17%上回り、発熱耐性や電力効率の改善が見て取れます。長時間のゲームでも性能低下が少ない点は大きなアドバンテージです。


AI、カメラ、通信の比較

  • Dimensityは「MediaTek NPU 990」、Snapdragonは「Hexagon NPU」を搭載
  • いずれも生成AIやリアルタイム処理をサポート
  • カメラは両者とも最大320MP・8K録画が可能
  • セマンティックセグメンテーションではSnapdragonがより高度なレイヤー処理に対応
  • 通信は
    • 5G:Snapdragonが優勢
    • Wi-Fi:Dimensityが速度でリード

AIとカメラは拮抗、通信は用途によって強みが分かれます。


総評:ハイエンド競争はMediaTekが一歩前へ

今回のベンチマークでは、CPU性能・GPU性能・総合スコアのすべてでDimensity 9500がSnapdragon 8 Eliteを上回るという結果になりました。

・アプリ処理→速い
・ゲーム→圧倒的に強い
・発熱と持久性能→優秀
・通信→用途によって強みが分かれる

これまで劣勢だったMediaTekが、ついにQualcommを正面から追い越したと言っていい内容です。今後、Dimensity 9500を採用する端末が増えれば、ハイエンド市場の勢力図は大きく変わることになりそうです。

ソース

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