
Googleが開発を中止してからおよそ10年。パーツを自由に入れ替えられる革新的なスマートフォンとして注目を集めた「Project Ara」が、再び静かな話題を呼んでいます。長く表舞台に現れなかった試作機の映像が、SNS上で新たに投稿されたためです。
パーツ交換で性能を自由に拡張できる夢のデバイス

Project Araが描いたのは、ユーザーが必要な機能だけを自由に組み替えて使えるスマートフォンという未来でした。カメラモジュールをより高性能なものに取り替えたり、バッテリーを追加して容量を増やしたり、スピーカーを変えたりと、拡張の自由度は一般的なスマホとは比べ物になりません。

Googleは2014年からベータテストを進めていましたが、たびたび延期が繰り返され、最終的には計画そのものが凍結。正式発売には至らず、プロトタイプだけが存在する幻のプロジェクトとなっていました。

TikTokに3台のプロトタイプが登場
そんなAraの端末が、TikTokユーザー「Racoondetectionsquad」の投稿を通じて再び姿を現しました。この人物は、なんと3台のプロトタイプ端末と複数の交換モジュールを入手しているようで、複数の動画や画像で詳細を紹介しています。
公開された映像では、ソフトウェア操作ではなくSIMピンを使ってモジュールを取り外す様子も確認でき、当時の設計思想の一端がよくわかります。
映っているモジュールは以下のような構成です。


- 異なるタイプのカメラモジュール
- スピーカーモジュール
- バッテリーモジュールと思われるパーツ2つ
- 物理スイッチが搭載されたモジュール

これらのモジュールは、2016年頃に流出した試作品からさらに種類が増えており、開発がどこまで進んでいたのかを示す興味深い手がかりとなっています。
今のスマホ業界では実現が難しい、それでも残るロマン
現在のスマートフォンは薄型、一体型、耐久性の強化など、真逆の方向に進化しています。交換式モジュールで自由に拡張するAraのコンセプトは、今の市場では実現が難しかったのは確かです。しかし「必要な機能だけを追加できるスマホ」という発想は、多くのファンにとって今でも魅力的なものです。
今回の動画公開は、消えていったテクノロジーの“もしも”を思い出させるきっかけとなりました。革新的でありながら、時代の波に乗れなかったプロジェクトの姿は、今見てもワクワクさせられます。スマートフォンの歴史の中で、Project Araはやはり特別な存在であり続けそうです。

