
Nothingは、自社サブブランドとして展開してきた「CMF」を完全に独立した会社とすることを発表しました。これにより、研究開発からデザイン、製造まで、CMFがすべてを自ら運営していく体制が整います。インドを事業の中核拠点とすることで、同国を世界的なテックサプライチェーンの要に据える構想です。
Optiemusとの提携で大規模投資

この独立に合わせて、Nothingはインドの大手エレクトロニクス企業 Optiemus Infracom とパートナーシップを締結しました。両社は製造や輸出の拡大に注力し、今後3年間で1,800人以上の雇用創出を目指します。投資額は総額1億ドル超にのぼり、インド国内での生産基盤をさらに強化する計画です。
「Make in India」と歩調を合わせる戦略

Nothingの共同創業者兼CEO、カール・ペイ氏は今回の決定について「インドは世界のスマートフォン・ハードウェア産業をリードできる独自のポジションにある」と強調しました。同氏はまた、インド政府の「Make in India」や長期的な自立化戦略とも歩調を合わせていると述べています。実際、ペイ氏はインド電子IT相 アシュウィニ・ヴァイシュナウ氏とも会談し、同国に根ざしたイノベーション拠点を築くビジョンを共有しました。
Optiemusの強み
パートナーとなるOptiemusは、電子機器製造から物流、アフターサービスまで幅広い経験を持ち、すでに複数の国際ブランドの生産を支えてきた実績があります。最新設備を備えた5つの工場を有しており、今回の提携によりCMFの拡大を支える重要な役割を担うことになります。
新体制とグローバル戦略
CMFの世界的なマーケティング部門もインドへ移管され、新体制のもとで事業を展開します。新たに副社長 ビジネス責任者として就任するのは、元POCO India代表のヒマーンシュ・タンドン氏です。彼は今後、CMFの世界市場での成長を牽引し、ブランドを国際的な競合と肩を並べる存在へと導くことが期待されています。
成長を後押しする資金基盤
今回の動きは、Nothingが2億ドルの資金調達を実施し、企業価値13億ドルを達成した直後に発表されました。Tiger GlobalやNikhil Kamathといった有力投資家が支援に加わり、財務基盤も一層強化されています。2020年の創業以来、Nothingは全世界で数百万台規模のデバイスを販売し、ユーザーコミュニティは300万人を超え、売上は10億ドルに達しました。デザイン性を武器に、競争の激しい市場で存在感を確立しています。
CMFの歩みと今後の展望
CMFはもともと、手頃な価格帯でデザイン性に優れた製品を提供するNothingのサブブランドとして誕生しました。これまでに数百万台を販売し、世界的に認知され、Red Dotデザイン賞を含む複数の受賞歴も誇ります。今回の独立によって、CMFは「インド発の初めてのグローバルハードウェアブランド」へと成長する大きな節目を迎えました。この動きはNothingだけでなく、将来のインド発ブランドの国際進出にとっても新たなモデルケースとなるでしょう。