MediaTekが次世代フラッグシップ向けSoC「Dimensity 9500」を発表し、その驚異的な性能が話題を集めています。最新のGPU「ARM Mali-G1 Ultra」を採用したことで、理論上のFP32演算性能はなんとXbox Series Sを超える水準に到達しました。
4.5TFLOPsの計算能力、家庭用ゲーム機を超える数値

テックメディアGeekerwanの検証によると、Dimensity 9500はTSMCの3nmプロセス「N3P」を採用し、FP32演算性能は最大4.5テラフロップスに達するとのことです。これはXbox Series Sの4.0TFLOPsを上回る数値で、単純計算上はスマートフォン向けSoCが家庭用ゲーム機を超える処理能力を持つことになります。
FP32はAI処理やグラフィックス、科学計算に用いられる単精度浮動小数点演算性能の指標であり、ここまでの進化はモバイルチップとして驚異的だといえるでしょう。
実力発揮には課題も
ただし、この性能がそのままゲーム体験に直結するわけではありません。Dimensity 9500はスマートフォン向けチップであるため、メモリ帯域幅や発熱といった制約が避けられず、コンソールのように持続的に性能を発揮できるわけではありません。
それでもMediaTekは、Unreal Engine 5.5といった最新のゲームエンジンに最適化されていると強調しており、レイトレーシング性能は従来比で最大119%向上。さらに補間技術を使うことで120FPSのゲームプレイも可能になるとしています。
AAAタイトルでの実証はこれから
現時点では、この性能をフルに試せるAAA級のモバイルゲームが存在しないため、真の実力はまだ未知数です。エミュレーションによる検証は可能ですが、やはり実際の大作ゲームでどこまでパフォーマンスを引き出せるかが注目されます。
スマホとコンソールの境界が薄れる時代へ
Dimensity 9500の登場は、スマートフォンがコンソールに迫るどころか、一部の領域では追い越しつつある現実を示しています。今後、さらなる比較や実機テストが進むことで、その可能性がより明らかになっていくでしょう。