
カメラメーカー大手のキヤノンが、ついにスマートフォン市場へ足を踏み入れるのではないか――そんな憶測を呼ぶ特許申請が米国で確認されました。従来のデジタルカメラの延長線ではなく、本格的な“カメラフォン”を意識した内容となっており、業界関係者の注目を集めています。
新特許に記された「スマホらしさ」

今回見つかったのは「複数の撮影モードを並行して実行可能な撮像装置およびその制御方法」という名称の特許。難解なタイトルとは裏腹に、図面にはタッチスクリーンや音量ボタン、前後カメラを備えた“スマートフォンそのもの”が描かれています。
過去にもキヤノンはモバイル向けのカメラ技術を模索してきましたが、今回の特許はそれらを発展させたものと見られています。
動画と静止画を同時撮影
この仕組みのポイントは、複数のレンズを使い、動画と静止画を並行して記録できる点です。例えば、広角でライブ映像を撮りながら、望遠レンズで高精細なスチル写真を同時に保存することが可能になります。

従来のスマートフォンではモード切り替え時に発生するラグや中断が課題でしたが、キヤノンの方式ならシームレスに撮影が進行でき、クリエイターにとって大幅なワークフロー改善が期待されます。
強まる“カメラブランド”の存在感
近年、Oppoとハッセルブラッド、OnePlusとライカといった協業が進む中で、カメラブランドの名前はスマホの価値を大きく左右しています。
映像制作や色再現で豊富なノウハウを持つキヤノンが参入すれば、スマホカメラ市場に大きなインパクトを与えるのは間違いないでしょう。専用機とスマホの境界線が曖昧になりつつある現在、その登場は「いつか」ではなく「いよいよ近い」と感じさせます。
実製品化の可能性は?
もちろん、特許申請が即製品化を意味するわけではありません。多くの場合は研究段階で止まることもあります。とはいえ、今回の内容は単なる技術検証ではなく、スマホ市場を見据えた実用的なアプローチに見える点が注目されます。
もしキヤノンが独自スマートフォンを投入するのか、あるいは既存のAndroidメーカーと提携するのか。その動き次第で、カメラ業界とスマートフォン業界の勢力図が大きく変わる可能性があります。