
プロセッサのコストが前年から約2割増に
Samsungが2025年1月に発売したフラッグシップスマートフォン「Galaxy S25 Ultra」は、見た目や価格こそ前モデルのS24 Ultraと大きな差はないものの、製造コストは実は上昇していることが、調査会社Counterpoint Researchの最新レポートから明らかになりました。
主因は新型チップセット「Snapdragon 8 Elite」
報告によれば、Galaxy S25 Ultra(512GBモデル)の部品コスト(BoM=Bill of Materials)は前モデル比で約3.4%増加しており、その主な要因はプロセッサのコスト上昇です。S25 Ultraに搭載されている「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」は、前世代のSnapdragon 8 Gen 3と比較して約21%も高額であると見積もられています。
このチップはQualcommがGalaxy向けにカスタマイズした高性能仕様であることから、コスト増はある程度予想されていたものの、他のパーツが軒並みコストダウンしている中で、際立った存在となっています。
メモリ・カメラ・筐体などはコスト削減に成功
一方で、その他の部品に関しては、全体的にコストが抑えられていることが分かっています。
- カメラ関連のコストは約8%減少
新たに50MPの超広角カメラが追加されているものの、メインカメラや望遠(3倍)・フロントカメラは従来と同じ構成のため、大幅な追加コストは発生していません。 - 無線通信関連(RF)モジュールのコストは10%以上減少
通信部品の効率化により、コストダウンが図られています。 - 筐体・フレーム部分のコストも約8%減
材料や製造工程の見直しによるものと見られます。 - ディスプレイコストは数%単位で低下
高品質なディスプレイは維持しつつ、供給コストを最適化しているようです。
メモリに関しては「わずかな上昇」があったとされているものの、全体としては大きな負担増にはつながっていないようです。
価格据え置きの背景にあるものとは?
Galaxy S25 Ultraの米国における販売価格はS24 Ultraと同じ1,299ドルに設定されています。製造コストが増加しているにもかかわらず、価格を据え置いた背景には、プレミアム市場での競争力を維持したいというSamsungの戦略があると考えられます。
とはいえ、このBoM(部品原価)レポートは、研究開発費・人件費・マーケティング費・梱包・流通などを含まないものであり、実際の利益構造や価格設定の全貌を語るには一部にすぎません。
それでも、より高価なチップを採用しても価格を変えなかったことから、SamsungはGalaxy S25 Ultraにおけるパフォーマンスと体験価値を強く意識していることが伺えます。コストよりも性能重視の姿勢が、同モデルのポジショニングをさらに際立たせているようです。