
スマートフォンに標準搭載されるブラウザといえば、Androidなら「Google Chrome」、iPhoneなら「Safari」が定番。しかし今、その“当たり前”が変わる可能性が浮上しています。
その背景には、AI検索を武器に急成長するスタートアップ「Perplexity AI」の存在があります。
Googleなしのスマホが当たり前に?変わるブラウザの勢力図
最近、Googleが米司法省(DOJ)から独占禁止法違反の疑いで提訴されたことは記憶に新しいですが、今回の話題はそれとは直接関係ありません。
注目されているのは、SamsungやAppleが将来的にGoogle Chromeのプリインストールをやめるかもしれないという点です。しかも、その代わりとして浮上しているのが、AI搭載ブラウザ「Comet(コメット)」です。
この動きが現実になれば、将来のGalaxy S26やiPhoneシリーズにChromeが最初から入っていない、という未来も十分に考えられます。
Appleも関心?Perplexity AIのCometが目指す未来
Perplexity AIは、NVIDIAも出資する注目のAIスタートアップで、自社のAI検索技術を搭載した「Comet」という新ブラウザを開発中です。
この「Comet」は、ただのブラウザではありません。ユーザーのメールやカレンダー、閲覧履歴といった個人データをAIが処理し、イベントのスケジューリングやウェブページの要約といった作業を、ブラウザ内で直接行うことができます。
現在はデスクトップ版がβ版として公開されており、数十万人規模のユーザーがテスト中。2025年中にはモバイル版の展開も視野に入れており、数千万〜数億人規模のユーザー獲得を目指しています。
AppleがこのPerplexity AIに関心を寄せているという報道もあり、将来的にはSafariのAI強化やCometとの提携なども現実味を帯びてきました。
“面倒だからそのまま使う”ユーザー心理を突く戦略
Perplexity AIのCEO、アラヴィンド・スリニヴァス氏は「人々はプリインストールされたブラウザをそのまま使いがち」と語っています。これは“ブラウザのスティッキネス(粘着性)”とも呼ばれ、デフォルトアプリの強さを示す指標です。
たとえば、Android端末ではChrome、iPhoneではSafariがプリインストールされていますが、多くの人はわざわざ他のブラウザをインストールしないという傾向があります。
そのため、もしCometがGalaxyやiPhoneにプリインストールされるようになれば、Chromeに匹敵する地位を一気に獲得する可能性もあるのです。
AI時代のブラウザ競争、主役交代はあるか
AIを活用した検索・操作体験がブラウザに求められるようになった今、Cometのような新興勢力が市場の常識を塗り替える可能性は十分にあります。
もちろん、Google Chromeの地位は依然として強固ですが、SamsungやAppleの動き次第では、それが揺らぐ未来もあり得るでしょう。スマートフォンの“入り口”であるブラウザが変われば、私たちの情報収集のあり方も大きく変化するかもしれません。今後の展開に注目が集まります。