GoogleのAI「Gemini Deep Think」、数学オリンピック級の快挙を達成──正式リリース前にその実力をアピール


I/Oで発表された「Deep Think」モード、いまだ未公開ながら実績で存在感

Googleが2025年のI/Oイベントで発表したAIの新モード「Gemini Deep Think」は、まだ正式には一般公開されていません。しかし同社は7月21日、数学界でも権威ある「国際数学オリンピック(IMO)」で、同モードが金メダルレベルのスコアを達成したと明らかにしました。


国際数学オリンピックでの金メダル級スコア

今年のIMOは先週開催され、各国から選ばれた高校生以下の数学トップ人材が、代数・幾何・組合せ論・数論といった分野の難題に挑戦しました。その中で、Googleの「Gemini Deep Think」の高度版が出場者と同じ問題に取り組み、6問中5問を完全に解答し、35点という金メダルレベルのスコアを記録しました。

これらの問題は、ただ計算ができるだけでは太刀打ちできない非常に複雑なもの。Googleは今回の成功について、「強化学習を活用した多段階推論」「定理証明データによる追加トレーニング」「IMO特有の問題の攻略法に関するヒントの導入」など、さまざまな技術的工夫を施したと説明しています。


自然言語のまま解答を導く「完全自動」の新アプローチ

特に注目すべきなのは、今回のGeminiが「問題文の自然言語から直接、厳密な数学的証明を出力した」という点です。これは、過去にGoogle DeepMindがAlphaGeometryやAlphaProofで挑んだ際には、まず問題文を形式言語へ変換する必要があり、解答には数日を要していました。

一方、Gemini Deep Thinkは競技の制限時間である4.5時間内に、問題文から直接、証明までを自動生成。エンドツーエンドで完結する自然言語処理の能力が飛躍的に向上していることが伺えます。


「並列思考」で複数の解法を同時検討

Deep Thinkモードは、Googleが「最新の研究成果」として紹介している“並列思考”を取り入れており、複数の解法を同時に試行・統合しながら最終解にたどり着く仕組みです。これは、従来のAIが行っていた単一ルートの直列的な推論と大きく異なります。問題を多面的に捉える力が格段に強化されており、今後の高難度領域への応用も期待されます。


まずは専門家向けに限定公開、一般ユーザーへの提供時期は未定

Googleは今回の高度版Gemini Deep Thinkについて、「数学者を含む信頼できるテスター向けに試験提供を開始する」と述べています。将来的には、月額250ドルの「Google AI Ultra」プランでも利用可能になる予定ですが、一般公開の具体的な時期については明らかにしていません


今後のAIと数学の関係に期待

Deep Thinkの今回の成果は、単なるAIの進化を超えて、人間が長年かけて構築してきた高度な理論分野にも、AIが実用的に踏み込める可能性を示すものです。数学教育や研究への貢献はもちろん、論理的な思考力が求められる他分野への展開も視野に入ってきました。

正式リリースを前にして、Googleは着実にそのポテンシャルを証明しており、AIによる「深い思考」が新たな知の地平を切り開く日も遠くなさそうです。

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