
サムスン電子が自社の半導体事業再編に向けて大きな一手を打つ可能性が高まっています。韓国国内の複数メディアの報道によると、同社はSoCの設計を担う「LSI」部門と、製造を担う「ファウンドリ」部門の統合を本格的に検討しているとのことです。
苦戦が続く半導体事業、統合案が浮上
サムスンのファウンドリ事業はここ最近、歩留まりの悪化などが影響し、業績が振るわない状況が続いています。2025年のGalaxy S25シリーズでは、ついにすべてのモデルでクアルコムのSnapdragonチップが採用され、Exynosが姿を消すという異例の展開となりました。
ただし、2026年のGalaxy S26シリーズではExynosの復活が噂されており、設計部門であるLSIへの期待も依然として存在しています。
内部会議で議論された3つのシナリオ
こうした中、社内のある会議では、LSI部門の今後について以下の3案が議論されたと報じられています。
- LSIをモバイル機器を手がけるMX(Mobile Experience)部門に統合
- LSIをファウンドリ部門に統合
- LSIを大規模に再構築(リストラクチャリング)
複数の関係者によれば、現時点では「ファウンドリとの統合」が最も現実的かつ有力な案として支持を集めているとのことです。しかし、最終決定には至っておらず、引き続き検討が続けられている模様です。
再編は2017年以前の状態に回帰する動き?
なお、LSIとファウンドリはかつてサムスンの「DS(Device Solutions)」部門の中で一体運営されていましたが、2017年に別々の事業部として分離されています。この背景には、NVIDIAやQualcommといったサムスンのファウンドリ顧客との利益相反を避ける意図があったとされています。
そのため、もし統合が実現すれば、それは約8年ぶりの“再合流”ということになります。
今回の再編案が実現すれば、サムスンの半導体戦略は大きな転換点を迎えることになります。かつての栄光を取り戻すための布石となるのか、それとも別の課題を生むのか──今後の動向から目が離せません。