
ソニーの最新フラッグシップモデル「Xperia 1 VII」について、興味深い動きが見えてきました。今年の初めには、従来のタイ工場ではなく中国工場での生産に切り替わったことが話題となりましたが、今回、その背景を裏付けるような続報が確認されました。
公式サイトの更新で「スマートフォン」が消失
ソニーが5月中旬に更新した公式サイト内の海外拠点情報によると、同社の各生産拠点における主要生産品目に「スマートフォン」の表記がなくなっています。

具体的には、これまでXperiaシリーズの生産を担っていたタイ・チョンブリやバンカディの工場、そして近年注目されていた中国・無錫(Wuxi)工場のいずれの一覧にも、スマートフォンに関する記載は見当たりません。
これにより、現在の「Xperia 1 VII」を含むXperiaシリーズは、ソニーの自社工場ではなく、外部の委託先で生産されている、いわゆるOEM製品であることがほぼ確定しました。
ハイエンドモデルもOEM化へ
ソニーがXperiaブランドを外部委託で生産しているという話はこれまでにも出ていましたが、今回のように公式に「スマートフォン」というカテゴリ自体が消えたことで、それが一時的な措置ではなく、今後の継続的な方針であることがうかがえます。
しかも、今回の対象は廉価モデルではなく、同社を象徴するフラッグシップ「Xperia 1 VII」です。これまで高級モデルの生産は自社内で品質管理を徹底して行っていたソニーが、ついにその方針を転換したことになります。
この変化に対し、ユーザーの間では「品質は大丈夫なのか」「ソニーらしさが失われるのでは」といった懸念の声も少なくありません。
「中国生産=問題」ではないが……
もちろん、製品の生産国が中国であること自体は、品質に直結する問題ではありません。中国には高い技術力を持つOEMメーカーが数多く存在しており、Appleをはじめ多くの大手メーカーが生産を委託しています。
ただ、ソニーがハイエンドモデルまでも自社の管理下から外すという決断には、一定の覚悟が求められたはずです。ブランドとしての信頼性や製品の完成度を重視してきたソニーだけに、ユーザーの目もより厳しくなることが予想されます。
しばらく続く外部委託体制
今回の工場リストの変更を見る限り、現在ソニーがスマートフォンを製造している自社工場は存在しないというのが実情です。これにより、今後発表されるXperiaシリーズの新機種についても、外部委託生産が継続される見通しです。
モバイル市場での立ち位置が揺らぐ中、ソニーがOEM体制によってどうブランド価値と品質のバランスをとっていくのか、その手腕が問われる局面となりそうです。