
任天堂が年内に発売を予定している次世代ゲーム機「Nintendo Switch 2」について、これまで不明だったプロセッサーの詳細が新たに報じられました。「カスタムNVIDIA製チップ」という曖昧な説明だけが先行していた中で、今回のレポートにより、その正体と設計思想がついに明らかになっています。
CPUは8コア構成の「ARM Cortex A78C」を採用
詳細を伝えたのは、ゲーム技術分析で知られるDigital FoundryのRichard Leadbetter氏。氏のレポートによると、Switch 2に搭載されるCPUは「ARM Cortex A78C」で、64ビットアーキテクチャ(ARMv8)を採用。L1キャッシュは命令/データそれぞれ64KB、L2キャッシュは8コア全体で256KBずつ、さらに4MBのL3キャッシュを共有する構成です。
この8つのコアのうち6コアはゲーム開発者が使用可能で、残りの2コアはOSなどのシステム処理専用に確保されているとのことです。
動作クロックについても興味深い仕様が判明しています。携帯モードでは最大1.1GHzで動作するのに対し、ドック接続時(パフォーマンスモード)では998MHzに低下するという逆転現象が起こっており、これはメモリ帯域幅の制約が関係している可能性が指摘されています。最大クロックは1.7GHzとのことです。
GPUはAmpere世代に進化、最大1.4GHz駆動に対応
GPUについては、従来のMaxwellアーキテクチャ(GTX 900シリーズ相当)から、Ampereアーキテクチャ(RTX 30シリーズ世代)へと大幅に刷新されました。CUDAコア数は1,536基で、携帯モード時は561MHz、ドック接続時には1,007MHzで動作。最大クロックは1.4GHzに達します。
このGPUの進化により、従来より高い描画性能と省電力性の両立が期待されており、4K/60fps(ドック接続時)、1080p/120fps(携帯モード)といった映像出力にも対応する予定です。HDR10やVRR(最大120Hz)にも対応しており、映像面での進化は大きな注目ポイントです。
読み込み速度を加速する「ファイル展開エンジン」も搭載
今回新たに明らかになった機能のひとつが、**「ファイル展開エンジン(FDE: File Decompression Engine)」**の搭載です。これは、通常CPUが行うゲームデータの展開処理を専用のハードウェアで行うことで、読み込み時間の短縮と省電力化を実現する技術です。近年のゲームは大容量化が進んでおり、こうしたアーキテクチャは快適なプレイ体験に直結すると考えられます。
また、初代Switchと同様に、10点マルチタッチ対応の静電容量方式タッチスクリーンも継続採用されることが判明しました。
スペックと発売情報:6月5日に発売
その他の仕様は、先月任天堂が発表したスペックシートと概ね一致しています。以下は現時点で判明している主なスペックです。
- 本体サイズ:272×166×13.9mm(Joy-Con 2装着時)
- 重量:534g(コントローラー含む)
- ディスプレイ:7.9インチLCD(HDR10、VRR対応)
- 解像度:ドック接続時 4K/60fps、携帯モード 1080p/120fps
- ストレージ:256GB(UFS)、microSD Express対応(最大2TB)
- オーディオ:リニアPCM 5.1ch、ノイズキャンセル・エコーキャンセル付きマイク
- バッテリー:5,220mAh(最大6.5時間駆動)、約3時間でフル充電
- インターフェース:USB-C×2、3.5mmイヤホンジャック
- 通信機能:Wi-Fi 6、Bluetooth
- センサー:加速度、ジャイロ、マウスセンサー
「Nintendo Switch 2」は6月5日に日本でで発売予定で、価格は日本語・国内専用が49,980円(税込)、多言語対応版が69,980円(税込)と案内されています。
ハードウェア面での刷新に加え、細かな設計の工夫も光るNintendo Switch 2。携帯性と高性能を両立する次世代ハイブリッド機として、ゲーマーの期待を大きく背負う一台となりそうです。