
スマホ向けカメラセンサーの中核部門が独立企業に?
ソニーグループが、自社の半導体事業を分社化する方向で検討を進めていることが明らかになりました。事情に詳しい関係者の話として、Bloombergが報じています。この動きが実現すれば、スマートフォン向けカメラセンサーで世界をリードする事業が、グループ外の独立した新会社としてスタートを切る可能性があります。
検討されている案では、新会社の株式の大部分を既存の株主に分配し、ソニー本体は少数株主として一定の関与を残す形が想定されているとのことです。時期については、早ければ2025年内にも実行される可能性があるものの、現在も協議は継続中です。背景には、米国の対中関税政策などによる市場の不安定さも影響していると見られます。
過去に反対していた分社化をついに容認か
この動きは、著名なアクティビスト投資家であるダン・ローブ氏の提言が再び注目を集める形となっています。ローブ氏は以前からソニーに対し、グループの一部事業を切り離すことで株主価値を最大化すべきだと主張してきました。
当初ソニーはこうした提案に対し否定的な姿勢を貫いていましたが、2020年に米国での事業売却に踏み切ったあたりから徐々に方針が変化。今回の半導体事業の分離も、その流れの延長線上にあると見られます。
年間1.7兆円規模の巨大事業、その行方は?
今回分社化の対象となる半導体部門は、スマートフォンを中心に、AppleやGoogle、Xiaomiといった大手メーカーにカメラセンサーを供給する中核的な存在です。2023年度の売上高は約1兆7,000億円(約120億ドル)に達しており、ソニーグループ内でも重要な収益源となっています。
とはいえ、現在の計画では、部門全体を切り離すのか、それとも一部機能にとどめるのかは明確になっていません。
センサー事業は鈍化、ゲーム・音楽が成長をけん引
Bloombergによれば、イメージングおよびセンシング事業の成長率はかつての25%から、直近では10%強にまで低下しているとのこと。一方で、ゲームや音楽といったエンタメ分野が利益成長を牽引しており、2024年12月期の営業利益ではゲームが37%、音楽が28%を占めています。
こうした収益構造の変化も、ソニーが事業ポートフォリオの再編に動く背景にあると考えられます。
今後の焦点は「どこまで分離するか」
現時点では、最終的にどの範囲の事業が新会社に移されるのか、またソニーがどの程度関与を残すのかは未定です。しかし、仮に分社化が実現すれば、業界構造に大きなインパクトを与えることは間違いありません。世界中のスマートフォンメーカーにとっても、今後の動向から目が離せない状況が続きそうです。