AI業界に突如として現れたDeepSeekが、今や最も注目を集める存在となっています。高性能なAIモデルを驚異的な低コストで提供し、市場を席巻する勢いですが、その一方で次々と物議を醸しています。最新の話題は、MicrosoftがDeepSeekのデータ盗用疑惑について調査を進めているというものです。
急成長から一転、安全性とセキュリティの懸念へ
DeepSeek R1は、驚異的な性能を誇る一方で、安全性の懸念も指摘されています。報道によると、このモデルは非常に簡単に悪用される可能性があり、ユーザーが危険な情報を引き出せることが問題視されています。例えば、武器の製造方法、有害物質の生成、マルウェアの開発手法などが容易に取得できてしまうとのことです。
さらに、DeepSeekの登場はAI関連企業の株価に甚大な影響を及ぼしました。市場全体で数兆ドル規模の急落が発生し、中でもNvidiaはわずか1日で6000億ドル近い損失を被ったとされています。Microsoftも例外ではなく、720億ドルの価値を失った企業の一つです。
MicrosoftがDeepSeekを調査する理由
MicrosoftがDeepSeekを警戒する理由は単なる株価の下落だけではありません。同社の調査によると、OpenAIのシステムから大量のデータが不正に抽出された可能性が浮上しており、DeepSeekに関わるグループがそのデータを盗用した疑いがあるとされています。
この手法は「蒸留（Distillation）」と呼ばれ、あるAIモデルの出力データを利用して別のモデルをトレーニングするものです。今回のケースでは、ChatGPTの出力を利用してDeepSeek R1が訓練された可能性が指摘されており、もし事実であれば倫理的・法的な問題を引き起こすでしょう。
現時点では、MicrosoftやOpenAI、DeepSeek、さらに背後にいるとされる企業High-Flyerのいずれも正式なコメントを発表していません。しかし、今後の展開次第では、DeepSeekが重大な法的問題に直面する可能性があります。
