
初代Nintendo Switch上で、Appleのタブレット向けOS「iPadOS 17.7.11」を起動させることに成功したと、開発者のBruno St. John氏が報告しました。QEMUを改造した仮想マシンを利用したもので、Safariやシステム設定など、iPadOSの標準機能が動作する様子も公開されています。
QEMUを利用してiPadOSの起動に成功
今回の実験では、初代Nintendo Switch上にソフトウェアエミュレーション環境を構築し、iPadOS 17.7.11を動作させています。

公開された映像では、起動時のカーネルログやファイルシステムの初期化処理に続き、iPadOS標準のホーム画面であるSpringBoardが立ち上がる様子を確認できます。
さらに、Safariの起動や検索エンジンのトップページの表示、システム設定画面へのアクセスにも成功しています。Dockやシステムフォント、メニューを開く際のアニメーションなども動作しており、単に起動画面を表示するだけではなく、基本的な操作画面まで再現できているようです。
デバイス情報の画面では、仮想環境が12.9インチの第2世代iPad Proとして認識されています。ビルド番号は21H461で、2026年5月に公開されたものとされています。
ネイティブ動作ではなくソフトウェアエミュレーション
ただし、今回の成果はNintendo Switch向けにiPadOSを移植したものではありません。改造されたQEMU仮想マシンを使い、Switch上でiPadOSの実行環境をエミュレートしています。
初代Nintendo SwitchはNVIDIAのTegra X1を搭載していますが、iPadOSはApple Silicon向けに設計されています。異なるハードウェア環境でAppleのOSを動作させるため、ソフトウェアによる仮想化・エミュレーションが必要になります。
2025年半ばに行われた過去の実験では、起動時にカーネルパニックが繰り返し発生し、20分以上かけてもアプリを起動できない状態だったといいます。今回のビルドでは基本的な画面要素が安定して動作するようになっており、開発が進展したことがうかがえます。
実用性にはまだ大きな制約
もっとも、現段階ではあくまで技術デモであり、実用的なタブレット環境として使える状態ではありません。
仮想環境の起動には数分かかり、動作中は電源に接続しておく必要があります。また、Joy-Conによる操作も完全には実装されていません。
エミュレートされたiPadOS上で確認できるストレージ容量は約34GBで、そのうち23GB以上が空き容量として表示されています。Switch本体の内蔵ストレージ、あるいは接続されたメモリーカードから仮想ディスクの領域を確保していると考えられます。
今回の実験で興味深いのは、Apple製デバイス以外のARMベースのハードウェア上で、iPadOSの起動に成功した点です。Apple独自のハードウェア認証などを回避して動作環境を構築したとされていますが、具体的な仕組みの詳細は今後の検証が必要です。
初代SwitchでiPadOSの基本的な画面やアプリが動作するという点では興味深い成果ですが、処理性能や操作性を考えると、現時点で実用性を期待できる段階ではなさそうです。
