
ソニーセミコンダクタソリューションズは、スマートフォン向けの新型CMOSイメージセンサー「LYTIA 720」を発表しました。有効画素数は約5000万画素で、1/1.56型のセンサーサイズを採用しています。暗所撮影時のノイズ低減やオートフォーカス性能の向上に加え、4K解像度で60fpsのHDR動画を撮影しながら、全画素オートフォーカスを利用できる点が特徴です。
量産出荷は2026年11月上旬に開始する予定で、主にスマートフォンのメインカメラへの搭載を想定しています。
暗所でのノイズを約50%低減
LYTIA 720は、画素ピッチ1.0μmの積層型CMOSイメージセンサーです。上位のLYTIAシリーズで培った設計や技術を取り入れ、暗い場所での撮影性能やオートフォーカス、ダイナミックレンジの向上を図っています。
注目点の一つが、ソニー独自の「Ultra High Conversion Gain(UHCG)」回路技術です。光によって生じた電荷を電圧に変換する効率を高めることで、暗所で発生するノイズを抑制します。
ソニーによると、従来世代のセンサーと比べて、暗所でのランダムノイズを約50%低減できるとしています。夜景や室内など、光量が不足する場面でも、ざらつきの少ない画像を撮影できるようになることが期待されます。
4K 60fpsのHDR動画と全画素AFを両立
動画撮影機能もLYTIA 720の大きな特徴です。アナログ・デジタル変換回路を再設計・最適化することで、変換処理の遅延と消費電力を抑えています。
ソニーによると、1/1.56型で画素ピッチ1.0μmのセンサーとして、全画素オートフォーカスを有効にしたまま、4K解像度・60fpsのHDR動画撮影に対応する初の製品となります。
また、複数フレームを合成するHDR動画では、被写体の動きによって映像に不自然な乱れが生じる場合があります。LYTIA 720は4K 60fpsのHDR撮影で単一フレームによるHDR方式を採用し、十分な露光時間を確保しながら、素早いオートフォーカス動作を維持する設計としています。
最大100dBのダイナミックレンジを実現
LYTIA 720は、「Hybrid Frame-HDR(HF-HDR)」技術によって、最大100dBのダイナミックレンジを実現するとしています。
この方式では、1回の露光で暗部から中間輝度までを捉える「Dual Conversion Gain-HDR(DCG-HDR)」に加え、明るい部分を記録するための短時間露光データも取得します。その後、それぞれのデータを画像処理で合成することで、暗部のつぶれや明部の白飛びを抑えます。
明暗差の大きい風景や、明るい窓のある室内などで、暗い部分と明るい部分のディテールを両立しやすくなることが期待されます。ただし、実際の画質はセンサーだけでなく、スマートフォンメーカーによる画像処理やレンズ設計などにも左右されます。
LYTIA 720の主な仕様
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| センサー形式 | 積層型CMOSイメージセンサー |
| 有効画素数 | 約5000万画素 |
| 光学フォーマット | 1/1.56型 |
| 画素ピッチ | 1.0μm |
| カラーフィルター | Quad Bayer Coding |
| 50MP・4:3 | 最大30fps |
| 12.5MP・4:3 | 最大90fps(DCG-HDR時は30fps) |
| 4K・16:9 | 最大120fps(DCG-HDR時は60fps) |
| ダイナミックレンジ | 最大100dB(HF-HDR) |
| 量産出荷予定 | 2026年11月上旬 |
スマートフォンのメインカメラ向けに展開へ
LYTIA 720は、スマートフォンのメインカメラへの搭載を主な用途として開発されています。量産出荷は2026年11月上旬に始まる予定ですが、現時点では搭載機種や製品の発売時期などは明らかになっていません。
暗所でのノイズ低減に加え、4K 60fps HDR動画と全画素オートフォーカスを両立するLYTIA 720は、写真だけでなく動画撮影を重視するスマートフォンにとっても注目のセンサーとなりそうです。今後、どのメーカーの製品に採用され、実際の撮影画質にどのような違いをもたらすのかが焦点になります。

