
AppleはiOS 27で、Siriを大幅に刷新しました。今回のアップデートでは、これまでの音声アシスタントという位置付けから、ユーザーの状況を理解し、アプリをまたいで作業を実行できるAIアシスタントへと進化しています。Appleによると、Siriには現在1日あたり25億件を超えるリクエストが寄せられており、今回の刷新は一部のユーザー向け機能強化ではなく、iPhoneの使い方そのものに影響する大規模な変更となります。
Siriに8つの新機能

iOS 27では、Siriに以下のような機能が追加されました。
- 独立したSiriアプリをホーム画面に配置し、会話をiCloud経由でApple製品間に同期
- メールやメッセージなどから必要な情報を探し出すパーソナルコンテキスト
- 画面に表示されている内容を理解して回答するオンスクリーン認識
- 30万以上のアプリをまたいで操作を実行
- カメラに映っているものについて質問できるカメラ連携
- Siriを使って文章の作成や編集が可能
- 複数の声から選択でき、話す速度や表現力も調整可能
- 句読点やスペル、大文字・小文字の認識精度を高めたシステム全体の音声入力
特に大きな変化となるのが、Siriが単独のアプリとして利用できるようになったことです。従来のように呼びかけて質問するだけではなく、AIチャットボットに近い感覚で会話できるようになります。
Geminiとの競争を本格化
今回のSiri刷新は、GoogleのGeminiなどが先行しているAIアシスタント市場にAppleが本格的に参入する動きともいえます。
新しいSiriでは、メールやメッセージなど複数のアプリに保存されている情報を横断して利用できるため、例えば以前送られてきたレシピを探してもらうといった使い方が可能になります。
さらに、画面上に表示されている情報をSiriが認識し、それをもとに質問へ回答できる機能も用意されています。アプリを開いたままSiriに指示を出し、別のアプリを操作させることも可能で、単純な情報検索から実際の作業を代行する方向へ進化しています。
Appleはこれらの機能を、自社開発のFoundation ModelsとPrivate Cloud Computeによって実現したと説明しています。
ただしGeminiとの差はまだ残る
一方で、Siri AIがすぐにGeminiを追い越したわけではありません。
これまでのテストではSiri AIの応答速度や精度が改善されてきたものの、GoogleのGeminiにはパーソナルコンテキストなど、すでに実用化されている機能があります。特にユーザー自身の予定やメールなどをAIが理解し、具体的な作業につなげられるかどうかは、今後のSiriを評価するうえで重要なポイントになりそうです。
また、これまでのSiriに対するユーザー満足度は決して高いとはいえません。YouGov BrandIndexによる調査では、主要AIアシスタントの中でSiriは下位に位置していました。ただし、この調査は今回のSiri AIが登場する前の旧Siriを対象としているため、iOS 27で刷新されたSiriの評価を直接示すものではありません。
対応機種には制限も
今回のAI機能をすべてのiPhoneで利用できるわけではありません。
Siri AIには比較的新しいハードウェアが必要で、iPhone 15 Pro以降のモデルが対応機種となります。AppleはAI処理に必要な性能を確保するため、対応端末を限定しています。
また、今回の発表では英語版をベータ版として提供し、10月にはフランス語、日本語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語にも対応する予定とされています。
一部の機能ではサーバー側のモデルを利用するため使用回数などの制限が設けられるほか、より多くの利用枠を利用するにはiCloud+のプランが関係してくる点も注目されます。Siriの機能がサブスクリプションと結び付くのは、これまでとは異なる大きな変化です。
iOS 27によってSiriは、単に質問へ答えるだけの音声アシスタントから、ユーザーの情報を理解し、複数のアプリを操作しながら作業を手伝うAIへと大きく方向転換しました。
Geminiなどの競合サービスがすでに先行している分野だけに、Appleにとっては今回のSiri刷新が長年の遅れを取り戻すための重要な一歩となります。特に多くのiPhoneユーザーが標準機能として利用できることを考えると、Siri AIの完成度が高まれば、AIアシスタント市場全体の競争にも大きな影響を与える可能性があります。


