
2026年9月3日、ChatGPTやClaude、Grokといった主要AIサービスで相次いで障害が発生しました。短時間に複数のサービスが利用しづらくなったことで大きな話題となりましたが、各社が公開している稼働率を見ると、AIサービスでは一定時間の障害が発生することが分かります。90日間の数字を実際の停止時間に換算すると、ChatGPTは約8時間、Claudeは約13時間に相当します。
今回の障害では、OpenAIが14時58分(UTC)にChatGPTとCodexでエラーが増加していることを公表し、16時55分に復旧したとしています。Claudeでも同日に2件の障害が発生し、Grokについても障害が記録されました。一方、GoogleのGeminiでは公式の障害情報は掲載されませんでした。
ChatGPTは90日間で約8時間、Claudeは約13時間
AIサービスの安定性を考えるうえで参考になるのが、各社が公開しているステータスページの稼働率です。
OpenAIが公開している過去90日間のChatGPTの稼働率は99.64%です。これを時間に換算すると、90日間のうち約467分、つまり8時間弱はサービスが正常に利用できなかった計算になります。
一方、Anthropicのclaude.aiは99.4%となっており、約778分、13時間弱に相当します。3カ月間という期間で考えると、丸1日の勤務時間に近い停止時間が積み重なる計算です。
ただし、これはサービス全体を集計した数字であり、すべてのユーザーが同じ時間だけ影響を受けたことを意味するわけではありません。モデルや料金プラン、利用地域などによって実際の影響は異なる可能性があります。
なお、APIについてはChatGPTより高い99.94%、AnthropicのAPIも99.5%の稼働率となっています。Codexは100%、Claude Codeは99.44%、Claude Coworkは99.43%とされています。
9月3日は複数のAIサービスで障害が発生
今回特に注目されたのは、複数のAIサービスがほぼ同じ時間帯に障害を起こしたことです。
Anthropicでは、Claude Sonnet 5で12時37分から12時56分まで障害が発生。その後、13時26分から16時16分にかけても複数のClaudeモデルで問題が発生しました。
OpenAIではChatGPTとCodexの複数コンポーネントが影響を受けています。米国のDowndetectorでは、ChatGPTに対する報告が一時3万5000件以上に達したほか、Claudeは約1400件、Grokは約1200件の報告が集まりました。
Geminiについても約500件のユーザー報告があったものの、Googleから公式の障害情報は出ていません。
OpenAIの障害履歴を見ると、7月には36件、8月には19件、さらに9月も3日までに5件のインシデントが記録されています。今回だけが特別に異常だったというより、複数サービスが同時に影響を受けたことで大きく注目されたと考えたほうがよさそうです。
Azureが原因という説には根拠が不足
今回の障害を巡っては、Microsoft Azureの米国東部リージョンに問題が発生したことが原因ではないかとの見方も出ています。ChatGPT、Claude、Grokが同じ時間帯に影響を受けたことから、共通するクラウドインフラが関係しているのではないかという推測です。
しかし、現時点でこれは確認された情報ではありません。
Microsoftが公開しているAzureの障害履歴には、9月3日の米国東部リージョンに関する障害報告は確認されていません。また、OpenAIとAnthropicも今回の障害について具体的な原因を明らかにしていません。
そのため、Azureが原因だったと断定するのは時期尚早です。Anthropicは8月28日の別の障害では、上流のクラウドプロバイダーに問題があったことを明らかにしていましたが、今回については同様の説明をしていません。
障害が起きたらステータスページを確認
AIサービスが突然利用できなくなると、自分のネット回線やブラウザに原因があると考えてしまいがちです。
しかし、まず各社のステータスページを確認すれば、サービス側で障害が発生しているのかを切り分けやすくなります。OpenAI、Anthropic、xAIはいずれも現在の稼働状況と過去の障害履歴を公開しています。
ただし、公式ページへの反映がユーザー側の障害報告より遅れるケースもあります。今回もDowndetectorで多数の報告が集まった後に公式情報が掲載されたサービスがありました。
そのため、公式ステータスページとユーザーからの障害報告をあわせて確認するのが現実的です。
複数のAIサービスを契約しても安心とは限らない
ChatGPTが使えなくなったときのためにClaudeも契約しておく、といった使い分けは有効ですが、今回のようなケースでは完全な対策にはなりません。
ChatGPT、Claude、Grokが同じ時間帯に障害を起こした一方で、Geminiは大規模な公式障害を記録しませんでした。複数のサービスを契約するのであれば、異なるサービスを選ぶだけでなく、可能な限り異なるインフラや環境に依存するサービスを組み合わせることが重要になります。
さらに確実性を求めるのであれば、PCなどで動作するローカルAIを用意しておく方法もあります。クラウド型の大規模モデルほどの性能は期待できませんが、インターネットやサービス側の障害に左右されず利用できるのは大きなメリットです。
AIが仕事や日常生活に深く組み込まれるほど、サービス停止は単なる一時的な不便ではなくなっていきます。普段利用しているAIサービスが突然使えなくなった場合に備え、別のサービスやローカルAIを含めた代替手段を用意しておく価値は、今後さらに高まりそうです。


