
ソニーは、PlayStation 5の販売台数をさらに伸ばすことよりも、すでにPlayStationを利用しているユーザーから継続的に収益を得ることを重視しているようです。ソニーの社長兼CEOを務める十時裕樹氏は、米ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、現在のユーザーベースを活用した継続的な収益の拡大が重要だと説明しました。
背景には、部品価格の上昇やAI向け半導体需要の拡大などを受け、PS5の価格が発売時から大幅に上昇していることがあります。PS6の登場も2028年以降になるとみられており、ソニーにとってPS5の販売台数だけを追いかける必要性は以前より低くなっているようです。
PS5を積極的に売る必要はない?
PS5は発売からすでに6年近くが経過していますが、ソニーはこのタイミングをむしろ強みと捉えています。
十時氏は、任天堂が部品価格の上昇など厳しい市場環境の中で新型ゲーム機を投入したのに対し、PS5はライフサイクルの後半に入っているため、現在はゲーム機そのものを積極的に販売する必要性がそれほど高くないとの考えを示しました。
近年はPS5の価格が相次いで引き上げられており、発売時と比較して大幅に高くなっています。販売価格の上昇は当然ながら販売台数を抑える要因になりますが、ソニーにとってはPS5のライフサイクル後半であることから、収益への影響を抑えられると判断しているようです。
1億2500万人超のPS Plusユーザーが重要に
そこでソニーが重視しているのが、すでにPlayStationを利用しているユーザーから得られる継続的な収益です。
十時氏によれば、PlayStation Plusの月間アクティブユーザーはすでに1億2500万人を超えており、この巨大なユーザーベースをどのように収益化していくかが重要になっています。
ゲーム機を新たに1台販売すればユーザーを増やせますが、既存ユーザーがPlayStation Plusを継続利用したり、ゲームや追加コンテンツを購入したりすれば、継続的な収益につながります。ハードウェアの販売台数を追求するよりも、すでに形成されたユーザー基盤から安定して収益を生み出すという考え方です。
また、デジタル販売の拡大もこうした戦略を後押ししています。PlayStation Storeを通じたゲーム販売や追加コンテンツなどは、ソニーにとって重要な収益源となっており、今後さらにデジタル中心のビジネスモデルへ移行していくことが予想されます。
PS6を急ぐ必要性にも影響か
今回の発言からは、ソニーがPS5からPS6への移行を急いでいないこともうかがえます。
PS5は発売から時間が経過しているものの、ゲームのグラフィックや処理能力が急速に向上していた過去の世代ほど、性能面での世代交代を急ぐ必要性が高くないとも考えられます。そのため、ソニーはPS5を長期的に活用しながら、ユーザー数と継続収益を伸ばす戦略を取りやすくなっています。
一方で、PS6について具体的な発売時期や価格などは今回のインタビューでは明らかにされていません。PS6は2028年以降の登場が有力視されていますが、次世代機に向けてソニーがどのような価格設定や販売戦略を用意するのかは、今後の大きな注目点となりそうです。
PS5の販売台数をひたすら増やすのではなく、すでに存在する巨大なユーザー基盤から継続的な収益を生み出す。現在のソニーにとっては、こうしたビジネスモデルへの転換がPS6登場までの重要な戦略になっているとみられます。



