
定番ベンチマークソフトとして知られるGeekbenchに、最新バージョンとなる「Geekbench 7」が登場しました。CPU・GPUベンチマークの内容が大幅に見直されたほか、CUDAへの対応や最新アプリを想定した新たなテストが追加されています。
一方で、評価基準そのものが変更されたため、Geekbench 6以前のスコアと単純に比較することはできなくなりました。
マルチコア性能の評価方法を大幅に見直し
Geekbench 7で最も大きく変わったのは、マルチコア性能の評価方法です。
従来は、多くのテストがマルチスレッドで実行されていましたが、新バージョンでは実際のアプリケーションがマルチスレッド処理を行うケースのみ複数コアを利用する仕様へと変更されています。
例えば、HTML5ブラウザー関連のテストは、実際のブラウザーが大規模なマルチスレッド処理を行わないことから、マルチコア評価の対象外となりました。
これにより、単純にコア数が多いCPUを有利に評価するのではなく、現実の利用シーンに近い性能を反映したスコアになると説明されています。
新たな基準スコアを採用
スコアの基準となるリファレンスCPUも変更されています。
Geekbench 6ではIntel Core i7-12700を2,500点の基準としていましたが、Geekbench 7ではAMD Ryzen 7 7700が新たな基準となり、同じく2,500点に設定されています。
そのため、Geekbench 6とGeekbench 7のスコアは互換性がなく、数値が高くなったり低くなったりしていても、CPU性能がそのまま向上・低下したことを意味するわけではありません。
公開された参考スコアでは、Apple M5がシングルコア約3,753点を記録したほか、Snapdragon X2 EliteやRyzen AI Max+ 395、Core i9-13900KFなどの最新プロセッサーの結果も紹介されています。
GPUベンチマークも刷新、CUDAに正式対応
GPUベンチマークも全面的に刷新されました。
新たに以下のような実際の用途を想定したテストが追加されています。
- AI画像アップスケーリング
- 顔認識・トラッキング
- 動画の背景ぼかし
- RAW画像処理
- カラーグレーディング
- パストレーシング
- 流体シミュレーション
さらに、これまでのOpenCL、Vulkan、Metalに加え、NVIDIAのCUDAにも正式対応しました。
公開されたベンチマークでは、GeForce RTX 4070はCUDA利用時に約23万6,000点を記録し、OpenCLやVulkanよりも高いスコアとなっています。RTX 4090でも同様の傾向が確認されており、CUDA対応によってNVIDIA GPU本来の性能をより適切に評価できるようになったとみられます。
AI時代を意識した新ワークロードを追加
Geekbench 7では、現在の利用環境を意識した新たなテストも多数採用されています。
AV1エンコードによる画面共有、Opus音声圧縮、OpenAIの音声認識モデル「Whisper」を利用したリアルタイム字幕生成などが追加されたほか、Jolt Physicsエンジンを利用したゲーム物理演算テストも新たに導入されました。
また、ファイル圧縮やPDF表示などのワークロードでは扱うデータサイズも拡大され、近年のPCやスマートフォンの利用状況に合わせた内容へと進化しています。
新旧バージョンの比較には注意
Geekbench 7はAndroid、iOS、Windows、macOS、Linux向けに提供が開始されており、個人利用であれば無料で利用できます。
今回のアップデートでは、単なる新機能の追加にとどまらず、ベンチマークの評価基準そのものが大きく見直されました。そのため、今後はGeekbench 7のスコアを確認する際には、Geekbench 6以前の結果とは直接比較できない点に注意が必要です。
より実際のアプリケーションに近い負荷を反映する設計へと進化したことで、今後のスマートフォンやPCの性能比較では、新たな基準として定着していくことになりそうです。

