TSMC、台湾の電力消費9%を占有 自家発電設備導入を求められる可能性

台湾政府が、大規模な電力消費企業に対して自社で発電・蓄電設備を整備するよう求める法改正を進めています。この新制度が成立した場合、台湾最大級の電力消費企業である半導体大手のTSMCは大きな影響を受ける可能性があります。

台湾経済部は「エネルギー管理法」の改正案を推進しており、7月22日に立法院で審議される予定です。対象となるのは一定規模以上の電力を使用する企業で、半導体メーカーやAIデータセンター、鉄鋼、石油化学関連企業など400以上の事業所が含まれる見通しです。

TSMCは台湾全体の電力消費の約9%を占める

今回の法改正で最も大きな影響を受けるとみられているのがTSMCです。

同社は台湾国内に多数の半導体製造拠点を展開しており、2024年には台湾国内で約255.5億kWhの電力を消費しました。これは台湾全体の電力消費量のおよそ9%に相当します。

TSMCは現在、台湾国内で以下のような製造施設を運営しています。

・12インチウエハー工場(GIGAFAB):6拠点
・8インチウエハー工場:4拠点
・6インチウエハー工場:1拠点
・先端パッケージング関連施設

最先端半導体の製造には大量の電力が必要であり、AI向け半導体需要の拡大によって今後さらに消費電力が増える可能性もあります。

電力網利用によるスケールメリットを失う可能性

現在、TSMCを含む大規模企業は台湾の電力網から電力を調達しています。しかし、今回の法改正が実施されれば、自社で発電設備や蓄電設備を整備する必要が生じます。

自家発電への移行は、単純に設備を設置するだけではなく、安定した電力供給体制の構築や維持コストの増加にもつながります。

特にTSMCのような大規模半導体メーカーの場合、電力網から大量の電力を一括調達することで得られていたコスト面のメリットが失われる可能性があります。

台湾政府は、企業側が設備導入するための猶予期間を設ける方針で、対応できない企業には一定の罰金を科す案も検討されています。

再生可能エネルギー利用義務からさらに踏み込んだ規制へ

台湾ではすでに、大規模電力消費者に対して電力使用量の10%を再生可能エネルギーで補うことを求める制度があります。

今回の改正案はさらに踏み込み、対象企業自身が発電・蓄電インフラを保有することを求める内容となっています。

半導体産業は台湾経済を支える重要分野であり、特にTSMCは世界中のスマートフォンやAI関連製品向けチップを製造する中核企業です。一方で、電力需要の急増は台湾全体のエネルギー政策にとって大きな課題となっています。

今後、TSMCがどのような電力戦略を取るのか、また台湾政府の新たなエネルギー政策が半導体産業の競争力にどのような影響を与えるのか注目されます。

ソース

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