クアルコムが先日正式発表をした最新フラッグシップ向けチップセット、Snapdragon 8 Gen1。
国内では来年のXperia 1 IIIやGalaxy S22シリーズ、AQUOS R7といった機種のリリースが予想されていますが、その実力についてはまだ未知数な部分が多いのも事実。
そんな中、XDAがこのSnapdragon 8 Gen1のベンチマーク性能をまとめた記事を掲載していました。
Snapdragon 8 Gen1搭載「公式」リファレンス機のベンチマーク性能まとめ
XDAによると、今回ベンチマーク測定に使われたのはクアルコムから提供されたリファレンス機とのことなので、一応これがSnapdragon 8 Gen1の「公式」な性能とみて良いと思います。
Snapdragon 8 Gen1 Antutuベンチマークスコア
まずAnTuTuを見てみると、クアルコムのSnapdragon 8 Gen1リファレンスデバイスのスコアは、前チップ、SD888比較で約24万ポイントと大幅に向上。
すでに発見されている同チップ搭載機では100万ポイントを超えるものもありましたが、平均的な性能ではそこまでは届かず、といったところでしょうか。
いずれにせよ、これは、クアルコムが公言している20%の速度向上を大きく上回る、約33%のかなり大きな向上です。
ちなみにこのAntutuベンチスコアはCPUとGPU性能を合算した総合スコアです。
Snapdragon 8 Gen1 Geekbenchベンチマークスコア
Geekbench 5.0ではAntutuとはまったく異なる結果に。
Snapdragon 8 Gen1は、前回のリファレンスデバイスであるSnapdragon 888に比べてほとんど性能が向上しておらず、むしろマルチコアに関しては性能が低下しています。
クアルコムは、Snapdragon 8 Gen 1に期待されるベンチマークスコアを記載した情報ページを提供してくれたようですが、実際にはシングルコア性能はクアルコムが提示した上限値を上回っていたものの、マルチコア性能は期待値の下限値を20ポイント下回ってるとのことです。
Snapdragon 8 Gen1 GFXBenchベンチマークスコア
GFXBenchのManhattanテストでは、OpenGL ES 3.0 APIを使用し、1080pのシーンを画面外にレンダリング。平均フレームレートは221fpsで、Snapdragon 888と865のフレームレートよりもそれぞれ約31%と75%高くなっています。
VulkanグラフィックスAPIを使用し、1080pのシーンを画面外にレンダリングするGFXBenchのAztec Ruinsテストでは、Snapdragon 8 Gen 1の平均フレームレートは41fps。ただ、過去チップ搭載のリファレンスデバイスの結果は1080pでテストされていましたが、今回のテストは1440pでした。1080pにすると、一度にレンダリングするピクセル数が43.75%増加するため、このテストではパフォーマンスが低下、ということになる模様です。
Snapdragon 8 Gen1は前年比でグラフィックスレンダリングが35%高速化し、電力効率が20%向上したことで、その効果を発揮しているようです。ただし、今回の結果はピーク時のGPU性能を示しているだけなので、ベンチマークの長期的な性能テストを行うためには、市販のハードウェアを手に入れてからGFXBenchを再訪する必要があるとのことです。
Snapdagon 8 Gen1 MLPerfベンチマークスコア
MLPerfは主にAI性能を測るベンチマーク。
これらのコンピュータビジョンと自然言語処理の推論ベンチマークでは、クアルコムのSnapdragon 8 Gen 1リファレンスデバイスが4つのテストすべてで圧倒的に高いスコアを達成していることがわかります。
なお、XDAはまとめとして以下のように評価:
- Snapdragon 8 Gen1は、特にAIに関して、昨年のチップセットに比べて大幅な性能向上が見られ
- GeekbenchのCPU関連の結果には確かに「おかしな点」がある
- 2年以上前のデバイス(SD865搭載機)からのアップグレードであれば、その改善は目に見えてわか
- AIのパフォーマンスが大幅に向上していることは、ほとんどのユーザーは気づかない
なお、今回のレビューに発熱やそれに起因するパフォーマンス低下といった点に関する言及はありませんでした。
ほとんどのユーザーにとってはこれが一番気になる部分ですが、これについては実際に同チップを搭載した製品がリリースされるまで待たないといけないようですね。
ソース:XDA
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