
AI需要の急拡大によって引き起こされた世界的なメモリ不足が、スマートフォン市場に深刻な影響を及ぼし始めています。調査会社IDCは、2026年の世界スマートフォン出荷台数が前年比で13%減少するとの見通しを示しました。
これは約1億6,000万台分の販売減少に相当し、パンデミック期に匹敵する落ち込みになる可能性があります。
IDCが出荷予測を大幅下方修正
International Data Corporationは、2026年のスマートフォン出荷見通しを大幅に引き下げました。もしこの予測が現実となれば、2023年以来初の前年比マイナスとなるだけでなく、過去20年でも屈指の落ち込み幅になるとされています。
背景にあるのは、AI関連用途によるメモリ需要の急増です。特にRAMの供給不足が深刻で、部品の確保と価格高騰がメーカー各社の重荷になっています。
IDCのシニアリサーチディレクターであるナビラ・ポパル氏は、今回のメモリ危機について、市場に「構造的な変化」をもたらす可能性があると指摘。供給や価格が安定するのは早くても2027年半ば以降と見られており、「正常化」ではなく「安定化」という表現が使われている点も、事態の長期化を示唆しています。
打撃を受けるのは低価格帯
今回の不足は、すべての価格帯に均等に影響するわけではありません。特に打撃が大きいのは低価格帯モデルです。
ハイエンド機は価格転嫁が比較的しやすい一方、低価格モデルは利益幅が小さく、部品コスト上昇を吸収しづらい構造にあります。そのため、値上げか販売縮小という選択を迫られるケースが増えるとみられています。
実際、100ドル未満の超低価格スマートフォン市場は事実上消滅する可能性もあるとの見方も出ています。
すでに始まる値上げの波
値上げの兆候はすでに表れています。先日発表されたGalaxy S26およびGalaxy S26+は、前世代モデルからそれぞれ100ドルの価格上昇となりました。
一方で、大幅な仕様刷新は見送られたとも報じられており、コスト増が価格に反映された形と見る向きもあります。
スマートフォン以外の分野でも影響は広がっています。自作PC市場ではパーツ価格の高騰と品薄が続き、携帯ゲーム機や家庭用ゲーム機の供給計画にも遅れが出ていると伝えられています。
AIブームがもたらした半導体需要の急拡大は、テクノロジー業界全体に波及しています。スマートフォン市場はここ数年回復基調にありましたが、今回のRAM不足はその流れを再び転換させる可能性があります。
今後は価格上昇だけでなく、モデル数の削減やスペック構成の見直しなど、各社の戦略変更も進むとみられます。2026年は、スマートフォン市場にとって大きな転換点になるかもしれません。

