
Appleが、従来のイメージセンサー構造を大きく変える可能性のある新技術を開発していることが明らかになりました。公開された特許情報によると、これまで一般的だったマイクロレンズの代わりに、ナノピラーで構成される「メタサーフェス層」を用いる新しいセンサー構造が検討されています。
マイクロレンズに代わる「メタサーフェス」構造
Appleが提案する新しいイメージセンサーは、画素アレイ、カラーフィルター層、その上に配置されるメタサーフェス層の三層構造です。メタサーフェス層には、極めて微細なナノピラーが配置されており、入射した光を波長ごとに異なる画素へと精密に導く役割を担います。

従来のマイクロレンズは、一定の範囲に光を集光することしかできませんでしたが、このメタサーフェスでは、赤・緑・青といった色ごとに異なる挙動をさせることが可能になります。しかも、それぞれの光の導線は部分的に重なり合うこともでき、従来の光学設計では難しかった柔軟な制御が可能になるとしています。
色ごとに最適化された感度と解像度
この技術の大きな特徴は、色ごとに「実効解像度」や感度を個別に調整できる点です。一般的に、緑画素は感度が高く、赤や青は感度が低い傾向がありますが、Appleの設計では赤や青の画素により広いメタサーフェス領域を割り当てることで、より多くの光を集めることができます。
これにより、フォトダイオードの物理サイズを拡大することなく、暗所性能の向上やノイズ低減が期待できます。ホワイトバランスの補正量も抑えられるため、色再現の自然さ向上にもつながると考えられます。
オートフォーカス性能の強化にも寄与
特許では、位相差AF(PDAF)への応用についても言及されています。メタサーフェス層は、従来PDAF用に使われてきたマイクロレンズと同様、あるいはそれ以上の角度依存性を持たせることが可能とされています。
これにより、画素密度を犠牲にすることなく、より高速で正確なオートフォーカスを実現できる可能性があります。特に低照度やコントラストの低いシーンでのAF性能向上が期待されます。
薄型化とマルチデバイス展開へのメリット
メタサーフェスは非常に薄く設計できるため、カメラモジュール全体の厚みを増やさずに高性能化を図れる点も利点です。特許ではiPhoneだけでなく、iPad、Mac、さらにはウェアラブルデバイスへの応用も想定されています。
複数カメラを搭載するデバイスにおいても、設計自由度が高まることで、さらなる小型化や性能差別化が可能になるかもしれません。
特許段階だが将来のカメラ進化を示唆
この特許の筆頭発明者には、AppleでCMOSイメージセンサーの画素設計を担当するエンジニアの名前が挙げられています。Appleはこれまでも、実際に製品化される技術の多くを特許として先行公開してきました。
もちろん、すべての特許技術が製品に採用されるわけではありませんが、スマートフォンカメラが物理的な限界に近づく中で、こうしたメタサーフェス技術は次のブレイクスルー候補として注目されそうです。将来的には、より高感度で色再現に優れ、オートフォーカス性能も進化したApple製カメラが登場する可能性があります。

