
GoogleのCEO、スンダー・ピチャイ氏が、現在のAI市場に漂う“バブル感”について率直な見方を示しました。もしAIバブルが崩壊した場合、「影響を免れる企業は存在しない。Googleですら例外ではない」と語り、注目を集めています。
ドットコムバブルとの「デジャブ」
ピチャイ氏がBBCのインタビューで持ち出したのは、1990年代後半のドットコムバブルです。当時はインターネット関連企業への投資が一気に膨らみ、その後の暴落で多くの企業が市場価値を失い、数万人規模の雇用が失われました。
同氏は、当時を振り返りながら「明らかに過剰な投資が起きていたが、インターネットそのものの価値を疑う人はいなかった」と述べ、現在のAI投資にも同様の“理性と非合理性が混じり合った状況”があると指摘しました。
期待と熱狂が続くAI市場
AI関連企業への投資はここ数年で急激に膨張しており、専門家の間では「AIバブル」という言葉が現実味を帯びつつあります。
特に今年、Googleの親会社であるAlphabetの株価はAI事業の加速を背景に倍増。現在の時価総額はおよそ3.5兆ドルに達しており、その勢いは“バブル的”とも言われています。
ピチャイ氏は、AI技術が今後も確かな価値を持ち続けるとしたうえで、「今の熱狂が落ち着いた後もAIは社会に深く根付く存在になるだろう」と語りました。
「誰も無傷では済まない」──それでも投資は続く
AIバブル崩壊への懸念がある一方で、実際の投資はむしろ加速しています。10月にはBloombergが、OpenAIをはじめとする主要AI企業の間で複雑に絡み合う“持ちつ持たれつ”の資金調達構造を報じ、これがAI市場の過熱を支えている可能性を指摘しました。
Google自身も積極投資の姿勢を崩していません。今週はテキサス州でデータセンター整備を進めるため、総額400億ドルという巨大プロジェクトを新たに発表しており、インフラ拡張に一段と力を入れています。
今後のAI業界はどう動くのか
ピチャイ氏の発言は、AIブームの裏側にある“リスク”を改めて示したものです。一方で、技術そのものの価値は揺るがないとする同氏の見解は、ドットコムバブル後にインターネットが社会の基盤となった歴史を踏まえたものとも言えます。
熱狂と警戒が入り混じる現在のAI市場。企業がどのようにバランスを取りながら前進していくのか、今後の動きに注目が集まります。

