
サムスンのスマートフォン事業が大きな転換点を迎えています。調査サイト「Jemlit.com」によると、2025年9月時点でのサムスンの世界スマホ市場シェアは19%に落ち込み、過去10年間で最も低い水準となりました。背景には、中国メーカーの台頭と、特にアジア市場での存在感低下があります。
中国勢の急成長でサムスンが後退
近年、Xiaomi(シャオミ)、Vivo(ヴィーヴォ)、OPPO(オッポ)といった中国ブランドが急速にシェアを拡大しており、これがサムスンとApple(アップル)の両社に大きな打撃を与えています。サムスンは2019年に世界シェア33%を誇っていましたが、2022年末には26.9%、2024年末には23.3%まで減少。そして2025年9月にはついに19%まで落ち込みました。わずか1年足らずで4.5ポイントもの下落を記録したことになります。

一方で、Appleのグローバルシェアは10年前と比べて1.7%増加しており、依然として堅調なポジションを維持しています。特にハイエンド市場でのブランド力が安定していることが要因とみられます。
地域別でみるサムスンの苦戦
地域別のデータを見ると、サムスンにとって最も厳しいのはアジア市場です。2015年以降、アジアでのシェアは約21ポイントも低下し、かつての圧倒的な存在感を失いつつあります。その一方でAppleは同期間に3ポイント上昇しました。
欧州市場ではサムスンが依然31.2%を維持していますが、10年前より2.3ポイント減少。アメリカ市場でも2ポイント下げる一方、Appleは8ポイントの上昇を記録しています。地域ごとの差はあるものの、全体的にはサムスンのシェアがじわじわと縮小している状況です。
回復のカギは「中価格帯」と「AI搭載モデル」
中国勢は高コスパモデルで世界的なシェアを奪い続けており、特に中価格帯市場での競争が激化しています。サムスンは折りたたみスマホなどのプレミアム機で差別化を図る一方、Galaxy Aシリーズの強化やAI機能の導入で巻き返しを狙う構えです。