
近年、GoogleとYouTubeの運営方針は大きく変わりつつあります。かつて両社は「正確な情報をユーザーに届けること」を最優先としていましたが、現在は「表現の自由」をより尊重する姿勢が強まっているようです。
YouTube、禁止アカウントの再申請を可能に
今週、YouTubeはスピーチポリシーを再び変更したことを発表しました。その中で注目されるのは、過去に誤情報の拡散を理由に停止されたアカウントが、復帰を申請できるようになる点です。あくまで申請制であり、自動的に復活するわけではありませんが、プラットフォームの方向性が「情報の正確性」から「発言の機会の確保」へと移りつつあることを示しています。
停止対象となったアカウントの多くは、新型コロナウイルスや2020年米大統領選に関する誤情報を拡散していたものでした。これらは社会的に大きな影響を及ぼす可能性があっただけに、再び発言の場を与えることには賛否が分かれそうです。
情報の正確性を担保する新機能も
もっとも、GoogleとYouTubeが完全に「正確性」を手放したわけではありません。CNBCの報道によると、YouTubeは今後、動画のコメント欄に「Community Notes」を導入する計画です。これは、他のユーザーが文脈や補足情報を追記できる仕組みで、X(旧Twitter)の仕組みに似ています。
さらにGoogleは「SynthID」という新ツールも開発中です。これはAI生成画像を判別し、ユーザーに通知する仕組みで、AI時代における情報の透明性を確保する狙いがあります。
正確さと自由のバランスをどう取るか
こうした取り組みからも分かるように、GoogleとYouTubeは「誤情報対策」と「表現の自由」の両立を模索している段階といえます。ただし、以前のように「信頼できる情報源」としての役割を全面に掲げる姿勢は薄れつつあり、利用者側にも情報を見極めるリテラシーが求められる時代になってきたといえるでしょう。