MediaTekは新世代フラッグシップ向けSoC「Dimensity 9500」を正式に発表しました。最新の3nmプロセスを採用し、“オールビッグコア”構成による圧倒的な処理性能を実現したこのチップは、vivoやOPPOの次期ハイエンドスマートフォンに搭載される予定です。
オールビッグコア構成で性能を大幅強化

Dimensity 9500は、Armの最新Cortex-X930およびCortex-A730を採用したCPU構成を持ち、1基のウルトラコア(4.21GHz)、3基のプレミアムコア(3.5GHz)、4基のパフォーマンスコアという計8コア設計となっています。省電力コアを排し、パフォーマンスを徹底的に追求するスタイルは前世代から継承されました。
前モデル比でシングルコア性能は32%向上しながら、ピーク時の消費電力はシングルコアで55%、マルチコアで37%削減。L3キャッシュは最大16MB、システムレベルキャッシュは10MBを搭載し、LPDDR5Xメモリ(最大10,667Mbps)や4レーンUFSストレージにも対応しています。
AI処理を加速する新世代NPU
AI性能も大幅に進化しました。新搭載の「Super Efficient NPU 990」は第2世代Gen-AIエンジンを備え、AI処理のピーク消費電力を56%削減しつつ、トークン生成速度を2倍に高速化。4K高画質イメージ生成も可能で、常時稼働型の生成AIを実現するCIMベースNPUとしては業界初となります。
ゲーミング性能は“コンソール級”へ
GPUにはArm Mali-G1 Ultraを採用。ピーク性能は33%向上し、ピーク時の電力効率も42%改善しました。デュアルレイトレーシングユニットにより、レイトレーシング性能は最大119%高速化。さらにVulkan RTパイプラインがUnreal Engine 5.5の先進機能をサポートし、120FPSでの没入型ゲームプレイが可能になるとしています。
カメラ・映像・通信機能も進化
新ISP「Imagiq 1090」は、被写体追跡や高速フォーカス、4K60fpsのシネマティック動画撮影に対応。Android初となる4K120fps Dolby Vision動画撮影(EIS対応)もサポートします。さらに200MPのAI撮影やMiraVision SmartScreenによる色彩・コントラスト補正も強化されています。
通信面では、最大7.4Gbpsの5G通信、Wi-Fi効率を20%改善するAIトラフィック予測、Bluetoothの通信距離を35%拡大する機能を搭載。省電力化技術「UltraSave 3.0+」により、消費電力も10%改善されました。
ベンチマークと搭載端末
ベンチマーク結果も驚異的で、vivo X300 ProやOPPO Find X9 Proの試作機はAnTuTu V11で400万点超えを記録。前世代Dimensity 9400(約270万点)を大きく上回っています。
初搭載モデルは、vivo X300シリーズ(X300/X300 Pro)が10月13日に中国で発表され、その後10月16日にOPPO Find X9シリーズが登場予定。いずれも2025年第4四半期にはグローバル展開される見込みです。
Dimensity 9500は、AI処理、ゲーミング性能、映像機能、そして電力効率のすべてを兼ね備えた次世代SoCとして、2025年後半のフラッグシップ市場を大きくけん引する存在となりそうです。