
デジタルズーム依存からの脱却へ
韓国のサムスン電機が、中国のスマートフォンメーカー向けに「連続光学ズーム」技術を搭載した望遠カメラモジュールを開発していることが分かりました。業界関係者によると、この新技術は従来の固定倍率型の光学ズームとは異なり、幅広い倍率で高画質を維持できる点が大きな特徴です。
従来のズーム方式との違い
一般的な「ペリスコープ型(折りたたみ式)ズーム」は、5倍や10倍といった特定の倍率で光学ズームを実現しますが、それ以外の中間倍率ではデジタルズームに頼らざるを得ません。これに対し、連続光学ズームは複数のレンズ群を独立して動かすことで、3倍から7倍、あるいはその中間倍率でも鮮明な画像を保つことが可能になります。
ただし、この仕組みを実現するためにはレンズの可動距離を確保する必要があり、光軸の正確な調整やモジュールの厚み増加といった課題も伴います。スマートフォン各社がペリスコープ型を採用してきた背景には、端末背面からの突出を抑える狙いがありましたが、今回の技術では再び厚みとのバランスが重要になりそうです。
中国メーカーが先行採用か
サムスン電機がまず中国メーカー向けに供給を進めるのは、新技術の積極採用に前向きな姿勢が背景にあります。中国勢はこれまでも革新的なカメラ機能をいち早く取り入れ、市場全体をリードしてきました。
将来的には、この技術がサムスン自社のスマートフォンや、アップルといった他メーカーにも展開される可能性があるとみられています。
今後の展望
スマートフォンのカメラ性能は、ユーザーの購買意欲を大きく左右する要素のひとつです。連続光学ズームの実用化が進めば、「100倍ズーム」のようなデジタル処理に頼らない、真に高精細な望遠撮影が可能となり、次世代のモバイル撮影体験を大きく変えることになりそうです。