
新興スマホメーカーのNothingが、最新機種「Phone (3)」のカメラ作例としてストックフォトを使用していたことが判明しました。写真家本人の証言により事実が裏付けられ、同社のマーケティング手法に疑問の声が集まっています。
デモ機に表示された「作例」がストックフォトだった

問題が浮上したのは、ニュージーランドで展示されているPhone (3)のリテール向けデモ機です。端末画面には「コミュニティがPhone (3)で撮影した写真」として5枚の作例が紹介されていました。

ところが、海外メディア「Android Authority」が複数の写真家に確認したところ、それらの画像はすべてストックフォトサービス「Stills」でライセンス提供されている作品であり、Phone (3)で撮影されたものではないことが判明しました。
写真家が証言「フジフイルム製カメラで撮影した」
確認された5枚の写真には、窓やガラス、階段、人物のポートレート、そして自動車のヘッドライトが含まれていました。
そのうち、自動車のヘッドライト写真を撮影した写真家のRoman Fox氏は、「この写真は2023年にパリでフジフイルムHX2sを使って撮影したもので、Nothing Phone (3)とは無関係だ」と証言。自身のInstagramにも同じ作品を投稿済みであることを明かしました。
Nothingの対応は「否定せず、更新で対応」
Android Authorityの取材に対しNothingは、問題を否定することなく次のようにコメントしています。
「製品の性能を正しく表現することは重要です。現在、Phone (3)のデモ機は、Phone (3)で実際に撮影された画像のみを表示するよう更新しています」
しかしこの説明は曖昧で、なぜストックフォトを使ったのか、過去にも同様の事例があったのかといった疑問には答えていません。
過去にも繰り返されてきた“偽作例”問題
実は、メーカーが宣伝用に実際の撮影機材とは異なる写真を使用するケースは今回が初めてではありません。過去にはSamsungが「月の写真」で、NokiaがLumia 920の手ブレ補正デモで、それぞれ“不正確な表現”を行ったと指摘されています。
こうした手法は一時的に注目を集めるかもしれませんが、ユーザーの信頼を損ねるリスクが大きく、業界全体で改善が求められています。Nothingも透明性ある説明と再発防止策を示さなければ、ブランド価値に深刻な影響を及ぼしかねません。