
台湾の半導体メーカーMediaTekが、来月発表予定の新型チップ「Dimensity 9500」によって、2025年のフラッグシップ向けSoC(システム・オン・チップ)出荷台数を大幅に伸ばす見通しであることがわかりました。市場調査会社Counterpoint Researchによると、同社の出荷台数は前年比33%増の2400万台に達する見込みです。
9400シリーズで急成長、9500でさらなる加速
2024年に登場した「Dimensity 9400」と「Dimensity 9400+」は、MediaTekの競争力を大幅に引き上げました。前年の出荷台数は1800万台と、前年比で約60%増。これに続くDimensity 9500は、最新のCPU構成やAI性能を武器に、同社の好調をさらに押し上げると期待されています。



Counterpointのレポートでは、2024年のフラッグシップ向けSoC収益は20億ドルに倍増したとされ、2025年もこの勢いを維持する可能性が高いと分析しています。
中国メーカーが成長をけん引
今回の成長を支える最大の市場はやはり中国です。調査によれば、Vivoが最大の顧客となり、次いでOPPO、そしてXiaomiのサブブランドRedmiが続く構図になるとのことです。
中国は世界最大のスマートフォン市場であり、各メーカーがシェア争いにしのぎを削っています。コスト競争力を重視するこれらのブランドにとって、Qualcommの「Snapdragon 8 Elite Gen 2」よりも安価に調達できるDimensity 9500は、製品価格を抑えつつ性能を確保する有力な選択肢となっています。
強みとリスク
MediaTekが中国で成功している要因として、価格の優位性、省電力性能や発熱の少なさ、AIやゲーム処理での強みなどが挙げられています。さらに、ターゲット市場でミリ波通信が必須ではないこともコスト削減につながっています。
ただし、同社のフラッグシップ戦略は中国依存度が非常に高いため、需要が落ち込んだ場合には出荷や収益に大きな影響が出るリスクも指摘されています。また、国内市場で存在感を増すHuaweiとの競合も避けられません。
市場の主役となれるか
Dimensity 9000シリーズで中国市場のプレミアムSoCシェアを3分の1近く獲得したMediaTek。次世代となる9500は、この勢いをさらに拡大するカギとなりそうです。Qualcommとの価格差を武器にしながら、中国メーカーとともにどこまでシェアを伸ばせるのか。2025年のスマートフォン市場における注目の焦点となりそうです。