米ITC、BOE製ディスプレイ搭載iPhoneの米国内販売禁止へ ― Samsungとの知的財産侵害が原因

米国国際貿易委員会(ITC)は、中国のディスプレイメーカーBOEがSamsung Displayの有機EL技術に関する企業秘密を侵害したとする仮決定を下しました。この判断により、BOE製ディスプレイを搭載したiPhoneがアメリカ国内で販売できなくなる見通しです。


除外命令と販売停止命令の2つの措置

今回のITCの仮決定には、2つの法的措置が含まれています。一つは「限定的排除命令」で、BOE製ディスプレイを搭載したiPhoneのアメリカ国内への輸入を禁止するものです。もう一つは「販売停止命令」で、Appleがすでに在庫として保有している対象iPhoneの販売や、今後の製造・流通も禁じる内容となっています。

なお、これらの措置は現時点ではまだ発効しておらず、正式な最終決定は2025年11月に下される予定です。ただし、韓国メディアETNewsによれば、ITCの仮決定が覆されることは稀であるため、この判断がそのまま確定する可能性が高いと見られています。最終決定後は、トランプ大統領(当時)による60日間の拒否権行使期間が設けられることになります。


BOE製パネルの影響範囲とAppleの対応

Appleは、iPhoneのディスプレイ供給元としてSamsung Display、LG Display、そしてBOEの3社を採用しています。BOEは特に「ProMotion」非対応の無印モデル、たとえばiPhone 16eのパネル供給を担っており、実際にこのモデルでは大半のパネルをBOEが提供していました。

一方で、中国向けモデルに関しては例外もあるようです。著名リーカーの@Jukanlosreve氏によれば、Appleは中国市場専用の「iPhone 17 Pro」向けにBOE製ディスプレイの採用を承認していると報じられています。今回のITCによる禁止措置はアメリカ市場に限定されるため、中国市場での販売には影響しません。ただし、AppleがBOEとの取引に慎重になることで、今後のパネル供給バランスに変化が生じる可能性はあります。

なお、将来的に登場が見込まれている折りたたみ型iPhone(通称:iPhone Fold)は、Samsung Display製パネルを採用する予定であるため、今回の件による影響は受けないと見られています。


Samsung Displayは別途損害賠償も請求

今回のITCによる措置とは別に、Samsung Displayはアメリカ・テキサス州東部地区連邦地方裁判所にも提訴しており、BOEに対して営業損失および懲罰的損害賠償の支払いを求めています。訴訟は複数の法的アプローチを取る形で進行しており、Appleにとっても調達戦略の見直しを迫られる重要な局面となりそうです

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