
今月登場したばかりのNothing Phone (3)が、デザインやスペックの選択をめぐり、テック界隈で大きな話題を呼んでいます。そんな中、NothingのCEOであるカール・ペイ氏が、YouTube上で公開された動画の中で、話題のレビューに対して率直な見解を語りました。
デザインに対する評価と批判にCEOが直接コメント
動画内でペイ氏は、人気テック系YouTuberであるMKBHDやMrwhosethebossといった著名レビュアーからの意見に一つひとつ触れ、称賛も批判も正面から受け止める姿勢を見せました。
特に議論を呼んでいるのは、非対称デザインや、完全なハイエンドスペックを採用していない点。Nothing Phone (3)は、QualcommのSnapdragon 8s Gen 4を搭載し、価格は799ドル(約12万円)。この価格帯ではGalaxy S25やiPhone 16といったフルスペックのフラッグシップがライバルになります。

それでもペイ氏は、「私たちは誇りを持てるプロダクトを作った。気に入る人もいれば、そうでない人もいる。それでいいんです」と語り、設計思想に自信を見せています。
Glyph LEDからGlyph Matrixへ――変化に対する批判も
背面の「Glyph」デザインはこれまでのNothing Phoneシリーズの象徴でしたが、Phone (3)では円形の低解像度ディスプレイ「Glyph Matrix」へと刷新されました。
この変更については「実用性が不明」との指摘もありますが、ペイ氏は、「今後、ソフトウェア開発のコストが下がれば、Glyph対応のアクセサリーやツール(Glyph Toys)が広がっていく可能性がある」と主張。ただし、AndroidやiOSと比べて開発者コミュニティがまだ小さい点は、今後の課題とも言えそうです。
処理性能は“必要十分”、ただし期待値には届かず?
多くのレビュアーが指摘するのはパフォーマンス面。Snapdragon 8s Gen 4は上位のSnapdragon 8 Gen 3 Eliteに比べて性能が控えめで、ベンチマークスコアでも差が出ています。
しかしペイ氏は、「Nothing OS 3.5と組み合わせれば、日常使いにおいては十分な性能を発揮する」と説明。確かに、1.5K解像度・120HzのLTPO OLEDディスプレイや、3倍ペリスコープ望遠を含む50MPのトリプルカメラといった構成は、ミッド~プレミアム帯としてはかなり魅力的です。
とはいえ、同価格帯の本格フラッグシップと比べると、依然としてカメラのソフトウェア処理や細部の完成度では劣る点があるのも事実です。
「Phone (3)自体」ではなく、「フラッグシップとされる立ち位置」が課題
Nothingはまだ創業から間もない若い企業であり、AppleやSamsungのような長年にわたる莫大なR&D投資を背景にした完成度には、簡単には追いつけないという現実もあります。
問題はPhone (3)の製品そのものではなく、それをフラッグシップとして打ち出したことによる期待値のズレにあるのかもしれません。
とはいえ、Nothingが提示する独自の美学とユーザー体験は、今後のスマートフォン市場に一石を投じる存在であることに変わりはありません。今後の進化にも注目です。