
Xperia 1 VII、フィンランドで販売されず
ソニーが最新フラッグシップモデル「Xperia 1 VII」を5月に発表したにもかかわらず、フィンランド国内では販売されていない状況が続いています。同国のキャリア各社や大手販売店、さらにはソニー自身の公式サイトにすら本機の掲載はなく、以前まで取り扱いのあったXperiaシリーズの旧モデルも姿を消しました。
この状況は、単なる供給遅延ではなく、同社がフィンランドのスマートフォン市場から実質的に撤退した可能性を示唆しています。
欧州市場からの段階的撤退か
複数の業界関係者によると、ソニーは現在、ヨーロッパ全域でスマートフォン事業の見直しを進めており、フィンランド市場からの撤退もその一環と見られています。
これについて、ソニーはフィンランドのテックメディア「SuomiMobiili」の問い合わせに対し、「Xperia 1 VIIはフィンランド国内での販売予定はない」と明言。そのうえで、「現在は公式オンラインストアとAmazonなどの一部欧州市場に販売を限定しており、効率的な販売チャネルへの集中を進めている」と説明しました。なお、フィンランドはその対象市場には含まれていません。
ソニーのコメント:「販売効率を重視」
ソニーは次のようにコメントしています。
「Xperia 1 VIIは、現在フィンランドの市場では販売しておりません。現在、販売チャネルの効率化に注力しており、特定の欧州市場においては、公式オンラインストアおよびAmazon経由での提供に限定しております。今後も市場ごとの需要や収益性を継続的に評価しながら、製品の提供可否を判断してまいります。なお、既存のXperiaユーザーの皆様には、従来通りのサポートやソフトウェアアップデートを提供いたします。」
この発言からは、同社が通信キャリアや小売パートナーを通じた販売から徐々に距離を置き、直販モデルへのシフトを強めている様子がうかがえます。
背景には技術的な不具合も?
さらに、Xperia 1 VII自体に技術的な問題が浮上していることも、販売縮小の一因と見られています。日本ではすでに、端末が突然シャットダウンしたり再起動を繰り返したり、完全に起動しなくなるなどの深刻な不具合報告が相次いでおり、販売が一時停止されました。
これを受けて、ソニーは日本国内だけでなく、欧州においても調査を進めていることを公式に認めています。こうしたトラブルが販売戦略に影響している可能性も否定できません。
Xperiaというブランドの岐路
仮に今回の動きが欧州市場からの段階的な撤退の一環であれば、それはXperiaブランドの転換期を意味するかもしれません。長年にわたり、ソニーのスマートフォンは高性能なカメラと独自設計でコアなファンを獲得してきました。
しかし、今後はより限られた市場、限られた販路を通じて、特定層に向けた製品展開に絞り込む戦略に転換する可能性が高まっています。ユーザーとしては、今後の動向を慎重に見守る必要がありそうです。